ヘイトフル・エイトおもしろかった。やはりアメリカ映画だぜ、西部劇だぜ!メアリー・トッドが呼んでいる、もう眠りにつかなければ、とリンカーンから届いたという手紙を語り、そしてその手紙をクシャクシャにして投げ捨てるラスト、ファムファタールの背中がそのショット前方に表されメアリー・トッドの如し、そして奥のベッドに横たわる男と彼の手前にいる男ふたりは意識が遠のいていくゆえ、リンカーンの如し。本作は裏アメリカ史であるかのようであり偽アメリカ史でもあるかの如し。まさにタランティーノだぜ。テクスト的に別作品も織り成されているかの如し。まさにタランティーノだぜ。例えば、カッセルと一室のなかに閉じ込められ観は遊星からの物体X、或いは、騙し合いと友情にも似た絆はレオーネ、それに音楽はモリコーネだし、など。長い上映時間でもそう感じさせないのは、ひとつのシークエンスの長さにはタランティーノならではの特徴である、何かが起こる前の緊張感があり、その持続が長い尺を忘れさせる。大吹雪のなか杭を刺して道をつくるは、まさにニューイングランドから開拓していくワイルドウェスト。荒地と自然と向き合うフロンティアの如し、人を前にしては自然も運命も一網打尽。まずは、温かなホームが破壊され、そしてメキシカンもカウボーイもブリティッシュもファムファタールも、そびえたつ悪魔のようなブラック・ガンマンも、首吊り執行のホワイト・ガンマンも南部野郎たちも一網打尽にフロンティアに成される。そこには因果応報もたしかに表される。ワルと手を組んだ南部野郎は息子の仇をちゃんと成し遂げれるし、ハリウッド的に女性にヴァイオレンスふるうオトコは宿命的に命をおとす。そして誰もいなくなる服飾店、死体の山となるも、スピルバーグのリンカーンとは違った裏アメリカ史がある。偽物、されど、見渡せば、アメリカはリアルにそう成っているかの如し。パルプフィクションとドッグス、タランティーノはずっとアメリカを描き続けている。
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