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2023年09月13日20:02

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見知らぬ乗客


見知らぬ乗客おもしろかった。共産主義フォビアはありつつもとりあえずは魔女狩りマッカーシズムは終焉し落ち着き取り戻し戦後消費文化漫喫のフィフティーズ半ばのヒッチコック・ピーク時の知りすぎていた男と違って、戦後のニューロティックが際立つ本作である。戦中期の照明は抑え電気代切り詰めから生まれたフィルムノワールの陰影は戦後にも影を残し、ワイラーは我等の生涯の最良の年のダナアンドリュースの悩む姿もニューロティックだろうし、ビリーワイルダーの一連の深夜の告白、失われた週末、サンセット大通りはヴェリー・ニューロティックだろうし、ヒッチコックはその作る戦後作品ひとつひとつはモスト・ニューロティックであろう。ヒッチコック好みのブロンドはロープ以外はまだカラーではなかった頃ゆえ表されてはいなかった頃だけれど、大衆的ユーモアは、ジェラルディンチャップリンのように大成はできなかったけれどチャーミングである丸顔のヒッチコックの娘によって小気味よく表され、後年にも続く空間をより強くホラーに感じさせる演出はもうすでにここにあり、またサイレント期から表されるドイツ表現主義的に壁に映る影や歪つな造形は本作に思う存分に進化形として描かれる。それにロバートウォーカーのワルの造形は、ノーマンベイツよりも前のワルとしてはヒッチコックの中で1,2位を争う魅力を放っている。ウォーカー自身、魅力ある男性なのだろう、ジェニファージョーンズやジョンフォードの娘を惑わしたらしい、も、奇行ぶりも凄いらしいから、まさに彼が肉体化した本作のワルは彼が時で行くような、まんま出ているのかもしれない。本作で人気に火がつくも、次作の撮影中に死亡、と、ヒッチコック伝説にこよなく貢献しているウォーカーである。ホワイトハウスをぶっ潰すとも言ったりする、現在もいそうなこのワルはマザコンも匂わせ、その母親は狂気の絵画を描き、子供を甘やかし、少々気がヘンのようでもあり、まさにこの親子はベイツ親子の祖型にも思えてしまう(ヒッチコックはある部分、これを基にかんがえ発展させたのかなサイコ)。彼は主人公の別人格のペルソナである。妻を絞め殺したいと言ってしまい事件に巻き込まれてしまう主人公を追いかけまわす主人公の罪の意識がこのワルである。罪の意識にも苛むであろう主人公であるが、このワルは怒りを、そして絞め殺したときの感触の快感をまだ恍惚として持ち続けている。ニューロティックに潜在意識を深堀りするヒッチコックのこの時期のキャラをとてもリプレゼントしている。さて、いつもの絆を取り戻すハッピーエンド、個人情報を披露することは危険に繋がるということ、とても現在にもアピールするが、本作のプロセスを追っていくとあの仲睦まじさはありえないな、となる。警察に真実を言っていないのではないかな、とも思えてくるのである。あそこまでなにも告白しなかったり警察の目を搔い潜って現場に行ったり、と、あれは共謀罪に完全になるのではないか、それに大団円のメリーゴーランドのスペクタクル(このシーンは本作のヒットにとても貢献したにちがいない)と大崩壊、むっちゃ多数の女子供の死者を出したに違いなく、その責任は彼に重くのしかかるのでは、、でもエンタメだから、まっそんな真剣に考えなくてもいいのかな。



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