穴おもしろかった。57年度のイチカワ・ヴァーサス・マスムラ対決でいえば、穴が青空娘に打ち勝っている(諸説あり)。なにかの企画がぽしゃり、これが急遽振り替え製作されるようになったと確か聴くが、さすが映画のプロ集団、おもしろいのを制作してみせる。それに、船越英二の窓ぶち割りジャンプまで、急遽つくったことから生まれるイキオイ感がスピードと力強さをだしている。それに、もうほとんど、京マチ子頼みなとこも清々しい。女優京マチ子のコミカル且つ妖艶な七ヘンゲ、京マチ子ショーにようこそ、な様相。おブスもコケティッシュも妖しげファムファタールもいろんな表情と容姿の早変わり連打である。通常、ノワールものでは男性主人公の視点からの謎の女性ファムファタールであるけれど、こちらはオーディエンスがついていく主人公自身がファムファタールであり、彼女が感じるサスペンスをこちらにも与えながらも、こちらオーディエンスをほどほど騙したりもする。そこもまたおもしろき、となる。マスムラも同様に青空娘のモンタージュ早々(はやばや)であるが、こちらの方がショットの数きっと多いだろう、市川崑らしくショットの切り替わりソークール。トラックインで人物の顔に近づきそれからバックする。これもある意味、ショットからショットへの移動。これが後々にはたくさんのショットとなるとき、トラックショットもショートカットになるのであろうか。
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