青空娘おもしろかった。東京駅での都会の奇人変人喧騒との出会いに戸惑う田舎から出てきたばかりの青空娘であるが、私的には、エスタブリッシュショットの彼女を含めた3人娘の方に驚く。青い海と緑香しい田舎で育ったとは思えないその3人娘の姿、総天然色のせいもあろうが、人工的な色合い染まるメイクの彼女たち、髪はパーマ、素朴さ微塵もなく、着ているセーラー服に赤い線、それは後に登場する俗に言うスケバン、薬師丸映画を観る前にフィフティーズの青春映画どんなものかと好奇心溢れ観始めるも、こんなはずじゃなかった、と冒頭からなる。青空娘こと若尾文子は高校生には見えなく髪は染まりユルユルパーマ、ほんとにその頃の日本の田舎育ちか? 驚きのそのセーラー服の彼女たち、そういったコスした当時の上野かどこかのそういったお店に勤続する御姿にしか見えないのである。堂々とした若尾、都会の喧騒なんかへっちゃらで苦境を切り抜ける。増村はくちづけがとてもよいので次作を期待するも、本作はほとんどなにもこちらのハートを揺さぶることない、となる。スピーディーな展開はマスムラ印であるが、やはりこの時代、長谷川伸的あるいはディケンズの影響が強いのか、瞼の母を想い健気にも苦境のなか社会を生きる、に感銘しやすいのか、でもこっちにはそれがない、それでもマスムラはそういったこと前時代的と思ってか、堂々とする青空娘を各シークエンスに配置する。時代は堪えしのぶではない、自ら切り開くもの、と、たぶんそこがこの作品の魅力なんだろうな。そうではあっても、くちづけにあった情緒感なく、でもって作品が意図するこちらがアッパレとなるような青空も心に生まれることはなく(曇りにもならないが)、なにも入ってはこないまま終わる。以前、溝口衣笠を中心に大映を観ていたとき、溝口作品には登場しなかったとは思うが衣笠作品での川崎恵三はさえないヤサオトコや山師のイメージがあり、本作での弱弱しさが微塵も感じられない好青年ぶりには驚き、となる。
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