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2023年07月10日17:19

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鍵



鍵おもしろかった。これいつ見ても、中村鴈治郎の軽妙な動きに驚かされる。市川崑の人物が動く方向性をしっかりと指し示し時には錯乱させるモンタージュと相まり、本作の魅力と成す。鍵が意味するのは何なのかな、門や戸の鍵、心を開け閉める鍵、人間関係を解く鍵、人間性を解く鍵etc。時には笑いも引き出す鴈治郎の軽妙な動きは人間の卑しさも顕し出すが、彼が体現化している美術鑑定家は主要人物のなかで卑しさも嫉妬感も喜びも素直に出し人間性を一番表し出している(註1)。仲代達也は客観的に自身も出来事も見ることができ、この不条理トラジコメディに最初に出てくる語り部として適任であり、彼と同様に白い顔した叶順子は好きに翻弄されるお人形さんに合っており、美術鑑定家が恋し焦がれる奥さんの京マチ子は国宝級お釈迦像として輝かしく妖艶に君臨する。人間観察というよりは誇張し戯画化する市川崑、人間性を紐解くキーワードを歪な矩形にしてみせる。この四角、ショットであり瓦や塀や襖などある日本家屋であり、その開け閉めであり、人間性がその流れで解かれていく。京マチ子の白い素肌と同じように明るみ浮かべる。されど、昇天に見える白い砂漠、そこにはエクスタシーしかない。まだ確かなそれを感じ得ず死にゆく仲代と叶と違い、お釈迦は柔らかな口調でお手伝いさんをたしなめ、毒の味かみしめ前のめりする。快楽。人間は結局のところそれを夢見て生きるのである。


註1  ところで鴈治郎、なるほど映画でよく見る顔であるが、ウィキを見て、そういう経緯があって映画を活動の場にしていたのか、そうだな松竹ではないのは思えば不思議ではあるのだな、となる。





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