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2023年01月25日20:12

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花とアリス


『花とアリス』(2004年)
 まずはアオイホノオの一番手、岩井俊二である。花とアリス。前回観たとき勝手に内容からいって上映時間は90分ぐらいだと思いこんで観たからか、そのあまりにも長い上映時間にナガッと思ったわけであるけれど、これまで何度か観てるときもそのプロセスがダラダラしている感じがして、でも今回は上映時間が2時間半近くと意識して観始めたからだろうか、とりあえず観なきゃいかんなメンドイな、と思ってダルく観始めたからだろうか、とてもおもしろいな、となる。たくさん笑えたし、たぶんこれまでで一番ベストな感動をおぼえる。
   キットカットの配信ドラマから始まったという先入観があるからか、いくつかのエピソードを団子刺し的につなげているというセンスで観ていたけれど、一貫してトライアングルなリレーションシップが縦軸となって表されていること認識する。
   岩井テクストをかつては大林宜彦と市川準がゴッチャンコになった感じで捉えていたのだけれど、それは長回しやロングやクロースやハンドヘルドなどショットの感じが市川していると捉え(いま観ると違って岩井風に見える)、でもって、なんで大林かというと、少年少女だからかな思ったけれど、音楽のせいかな、本作品においては伴奏というかBGMというか、それがとても大林宜彦していると思うとこある。こうした音楽の付け方おおいよね、岩井俊二。でも特に本作での音楽、大林っぽい感じをリマインド。
   岩井テクストらしく少年心は、山崎裕太も柏原崇も浅野忠信も神谷隆之介と彼に協調する福山雅治も誰しも持っているもの。本作においても岩井テクストらしい少年心をもった宮本くんがいて(少年心を持ってるのも当たり前、彼は少年なのだから)、彼の変化の物語も表されている。岩井テクストのいつものような不幸の荒波をこうむるのは、今回は彼である。花の造りだした嘘の世界に迷い込み、彼女によってナメクジのヌルヌル感をあじわい、アリスにドキドキしてしまい、戻ることのできないところまで連れていかれる。彼はボーとした閉じこもりから抜け出し、ついには愛を知ることとなる。
  花屋敷に住む花とゴミ屋敷に住むアリス。ミーイズムの花とファザコンのアリス。ふたりは岩井俊二のペルソナ、すなわち、花は嘘を本当のことに変えてしまい、アリスはミラクルを届ける。元ひきこもりのマイペースの花は、あんた弟にしときなよと言われなんとなく宮本くんを意識することにマイペースになる。マイペースゆえ彼女のペースに皆を引き込む。不思議な圀に迷い込む宮本くん、そしてアリス。アリスはだらしのない生活しているマンハンター母となかなか会うことのできないファーザーに育てられたせいか自立が早くしっかりとしているようである。が、ややながらも無責任な大人である両親にとり残されフワフワと流され生きている、されどやがて大人の世界に積極的に参加をし認めてもらえるようになる。いっぽう花は自ら虚構の世界を崩すことによって愛を成就することになる。ふたりはたとえばスワロウテイルのアゲハあるいはリップヴァンウィンクルの花嫁の皆川七海が自立心を得ることができるまでのように、少女の通過儀礼を本作に表してくれる。
   岩井テクストにおいては、ホワンホワンしている感動のドラマ・サイドだけれど、宮本くんに帯を巻いてもらうときの花のひたむきさ、オーディションのときのバレエを踊るアリスの透明感、いろんな印象的なシーンが感動を導き、そして飄々としているときも葛藤のときも人物間のマのとりかたが独特の岩井ワールドを、朗らかにして棘がありながら築いている。ただただ清々しいのではなくも、なんとなく美しい気持ちにさせてくれる。

  通過儀礼つーて、本作に平成の様相があるのかつーて、ガーリーフォトつーて、コギャルもいなければギャル男もいなければ腰パンもないつーて、アムラーもマヨラーもいないつーて、で、あるのは、片付けることができない親つーて、アリスがいっぽい抱える買い物袋が109のかつーて、女性誌きゃんきゃんつーて、そのどれもがそれかどうかは分からない、つーて、そこに映される消費精神社会はやはり昭和してるってよりは平成している、つーて。平成。





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