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1.居酒屋 Int.
旦那と子供を寝かしつけて、ふたりはエスケイプするようにいつもの居酒屋で再会するのであった。
千春「乾杯する前に。これ、あんたの好きなもの」
史奈「えー?いいのー?」
千春は史奈に紙袋を渡す。
史奈「なになに?博多とーりーもーん?(紙袋の中を覗きながら)うぁ、斜め上いってる。ありがとー」
史奈は紙袋を両手で持って会釈してそれを横の席に置くも、アクシデンタリー、スウィッチが入ってしまい袋に入っているものがヴウィーンウィーンと動き出す。
きむらきょうや(ナレーション)「そんなことにめげるふたりでは当然ない。店中に響き渡る音なんか気にせず」
千春&史奈「(酎ハイを乾杯しながら)ハザマ カンペ―」
バイトの五十土さんが注文をとりにやってくる。
千春「(メニューを見ながら)おねえさん、おすすめはなに?」
史奈「(メニューを見ながら)わたしは肉玉の天秤焼き」
五十土さん「そうですね、わたくしのおすすめは、そうですね、枝豆とポテトサラダのマッシュアップが、美味しいかと、」
千春「じゃーそれー。(メニューを見ながら)コロボックル・カツアゲ、(史奈に)次も酎ハイ?」
史奈「わたしは(壁に貼ってあるメニュー表を見ながら)あれにする、ホットウィスキー・メランコリー」
五十土さん「他にご注文はございませんか?そうですね、ご注文を繰り返させていただきます、肉玉の天秤焼き、コロボックル・カツアゲ、ホットウィスキー・メランコリー、そうですね、あと、枝豆とポテトサラダのマッシュアップでお間違いはございませんか?」
千春「それと、酎ハイひとつ」
五十土さん「そうですね、ご注文は以上で? ありがとうございます」
五十土さん、退場。
1時間23分後
バイト時間を終えた五十土さんもふたりに参加して宴もたけなわとなっている。
五十土さん「そうですね、わたくしはそれがベストだと、認識しております。タケノコは五月晴れが旬かと」
千春「そうなのかな、、」
史奈「タケノコで思い出したのだけれど、」
千春「うんうん」
史奈「理想を追っていても志を失い悪になるって、なので、」
千春「バディウの倫理」
史奈「(左手で口をかざしながら、右手で千春を指さし)そー」
千春「あげあげドーナツの歌を聴いたら涙が出てきちゃう」
史奈「分かる分かる、わたしもー」
千春「おねえさんは?」
五十土さん「そうですね、、わたくしはその歌を存じ上げません」
史奈「いつも思うんだけれど、、五十土さんホント足キレイだよね」
五十土さん「そうですね、いやいや、そういうことない」
千春「わぁほんと、カモシカみたいな足してるー、うわうわ、ねーもーねー、うん、寝る前、足になにか巻きつけているの?」
五十土さん「そうですね、わたくしは、脹脛パックを少し、、と認識しております」
千春「あーあれね、わたしもやってんだけれど効果が(足元を見て)あまり見られない」
史奈「カワイイよー」
2時間23分後
きむらきょうや「店中をいまだヴウィーンウィーンという音が鳴り響いている」
千春「あげあげドーナツの歌、歌っていたら旦那が起きてきて、あの、そのままソファに座って新聞開いて読みだすの、眼を閉じたまま」
史奈、頷きながら話を聞いている。
千春「寝室は電気つけっぱなし。それがイラっとする」
史奈「うっそ。どういうこと?」
千春「わかんない」
きむらきょうや「眼を閉じたまま新聞見る方がよっぽどどういうことである」
史奈「うちのも、よくつけっぱなしにしていて。あとでわたしが消すの」
きむらきょうや「五十土さんは夜更かしが美容によくないと先においとまをしていたのであった」
千春「寝室の電気消しにいって、あの、そしたら、旦那はいないのに、その、部屋が、、イビキだけが聴こえてくるの」
史奈「(左手で口をかざし、右手で持っている箸を千春に向けながら)あるあるー」
千春「(史奈を指さし)分かるー?」
きむらきょうや「分かるわけがない、サイコかこいつら」
五十土さん「そうですね、スーパーナチュラルみたいで、不思議だと、、認識しております」
五十土さんが居酒屋に入ってきている。
きむらきょうや「おいとまするも、五十土さんは自分がいないところで自分の悪口を言われているのではないかと心配になって戻ってくるのであった」
そうやって居酒屋ふじは3人の貸し切りとなって明け方まで宴は続いていく。「がははは」「そうですね」「がははは」「なので、そー」「そうですね」「ねーもーね、うん」「がははは」「して、あの、そしたら」「そうですね」「がははは」が鳴り響く。
2.タイトル:「3人のゴースト」
3.街頭 Ext.
寝落ちした五十土さんを起こさずそのまま寝かしたままにしてあげて、千春と史奈はそっと夜更けの街に繰り出す。夜はもう白色に染まりつつ、新聞配達の自転車のチリンチリンが聴こえている。ふたりはレンタル屋でビデオを3本かりて昭和のラブホ街へと消えていく。
4.ラブホテル「北アフリカ」 Int.
廊下をトラック イン ショット。ゆっくりとどんどん廊下の奥へと進んでいく。ドアの隙間から蒸気がムラムラと湧き出ている505号室を通り過ぎてしまうも、ふたたび後退し、その部屋のドアにサッと向きなおる。千春と史奈の仲睦まじい声が洩れている、そのドアの隙間から蒸気。ふたりの声がキャーッと歓声をあげる。
カメラアイはトラックバック。淀川長治と中村正と広川太一郎がショット内に入ってくる。
広川太一郎「なんともはや、蒸気が出てるんで常軌を逸したのかと思ったら、恥ずらかしい、っちゃったりなんかして」
中村正「奥さまの名前は原千春。そして、奥さまの名前は新川史奈。ごく普通のふたりはごく普通の恋をして、ごく普通の結婚をしました。ただひとつ違ったのは、ふたりは美魔女だったのです」
千春&史奈の声が部屋から漏れてくる、「こんな映画、観たことなーい」
淀川長治「映画を観ていただけだったのですね。でもどうしてこんなところで?怖いですねー怖いですねー、それでは、さようならさようならさようなら」
きむらきょうや「怖いのはお前らだ」
5.エンド・クレディット
「3人のゴースト」
エンド・ロール
音楽:ヴウィーンウィーンという音をシーケンスしたバーナード・ハーマン風ミニマル・ミュージック。
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