まったくコメディ的要素がないというわけではないけれど他のよりはよりシリアスな感覚の作品- それもそれはフィルムノワール -を10年に1度はやっているのではと思うコーエン兄弟だけれど、それは84年のブラッドシンプル、96年のファーゴ、そして07年のノーカントリーであり、もうそろそろそうした作品が現れるのかなと思って調べると、マクベスがある。そうした作品かどうか分からないけれど(ピストルは出てこないであろう)、この作品はイーサン抜きではじめて制作されるジョエルのみの作品。ファレリー兄がグリーンブックでやったことのように、兄弟のブランドとしての作品ではないからかな、イーサンが参加しないのは。現代に持ってくるものか、それとも古典そのままやるのか、気になる。
リンチとタランティーノの共通するところのひとつとしてノスタルジアがあるだろう。そしてそのノスタルジアのひとつとしてダイナーがあるだろう。そこで結びつくのがホッパーであり、ナイトホークスである。この絵画のこと調べると、これ自体がフィルムノワールに影響を与えたところもあるのだな。ドンパチはないけどワイルダーの失われた週末もノワールの傑作と数えられるようにイレイザーヘッドもそうだろうし、レズボアドッグスはドンパチあるうえハードボイルドにそうである。そしてブラッドシンプルも然り。約10年づつ隔てて在る3作傑作である。
ファーゴはなにかグルーミーで赤ちゃん泥棒やバートンフィンク、ミラーズクロッシングの無意識超絶もユーモアも薄らぎハードコールドに思えたり、ノーカントリーもイーサンの哲学問答は残しつつもなんとも虚しさが先立つな、喜劇℃減ってどうしたコーエンズと思っていたけれど、久しぶりにブラッドシンプル観ると、むしろ原点を膨らましたのがファーゴでありノーカントリーなんだな、となる。偶然が重なり呪わば穴二つの必然的人生、これがコーエンズだ。ブラッドシンプルの冒頭、最近のご時世、人には情が無くなっているというモノローグもまたそれら2作品につながるもの。リンチとタランティーノは、イメージをシュールレアるしたり、イメージをシミュラークるしたりと、イメージが先行する感じであるが、コーエン兄弟はしっかりプロットをプロセス、伝統をちゃんと繋げ、そして、あの犬が動き回るシーンに表されるように新しさをも生んでいる。やはりスゲーな、コーエンズ。マクドーマンドもこの作品ではいつも美しく思えてしまう。
マクベスもジョエル的には原点とつながるものがあるのだろう。
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