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2020年11月26日22:56

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映画日記『河豚』

2020年11月26日(木)

『河豚』(2011年)
監督:リー・チーユエン
駅西・シネマスコーレ

<台湾巨匠傑作選2020>の6本目。

台湾映画コーディネイター・江口洋子さんがセレクトした傑作選から最後の1本。
台湾では河豚(ふぐ)が観賞魚として売買されているらしい。

大都会の百貨店でエレベーターガールをしているシャオズンが予定より早く帰宅してみると、同棲している恋人が他の女と寝ていた。
シャオズンは、腹いせに男が大事にしている河豚のハリセンボンを、勝手にネットで売ってしまった。
シャオズンはバスに乗って買い手のいる田舎の村へとやってきた。
あらわれたのは、無精ひげとボサボサの髪をした、ぶっきらぼうな男だった。
彼の家で、シャオズンと男が見つめ合ううちに、どちらともなくふたりは身体を求め合った。
しかし、男しかいない家の二階には、派手なワンピースといった女性ものの衣服が所狭しとあちこちに吊り下がっていた。
どうも、この男、妻か恋人に逃げられたらしい。
それでも、ぶっきらぼうであっても、元カレにはなかった男のやさしさに触れたシャオズンは、そのまま彼の家に居着いてしまう。
しだいに打ち解けていくふたりだったが、ある朝・・・・

傑作選の掉尾を飾るにふさわしい1本。
ひょんなことから出会い、たがいの淋しさを埋め合わすために肌を重ねてしまった女と男の、しだいに高まっていく情愛の機微を、極力セリフを排した映像で描く。
まわりを黄色い花で埋めつくされたつづら折りの田舎道をふたりが歩いていくロングで撮ったシーンがすばらしい。
豆粒ほどにしか見えないふたりが歩いていくと、先を歩くシャオズンが手を伸ばす。
追いついた男がその手を握りしめた。
いつまでも記憶に残るような美しいシーンだった。

ヒロインのシャオズンを演じたヴィッキー・パン・ズーミンが良い。
正直、美人顔ではない。
通りですれ違っても、まあ、ふり向くことはないだろう。
そんな普通の女性が、男との情愛の高まりにつれ、どんどんきれいになっていく。
奇妙な共同浴場での彼女の裸身は見どころだ。

今回の特集上映は、バラエティに富んだ6本で、いずれも見ごたえがあった。
台湾映画は見る機会が少ないので、来年も続けてほしい好企画だ。



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