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2020年11月15日23:17

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映画日記『とっととくたばれ』

ファンタスティック&ホラー映画の祭典、【シッチェス映画祭2020】の3本目。

2020年11月15日(日)

『とっととくたばれ』(2020年)
監督:キリル・ソコロフ
駅西・シネマスコーレ

ロシア発の血みどろブラック・コメディ。
【シッチェス映画祭2020】の予告編を見て、いちばん面白そうだった。
予告編を見ただけでは、ひょろっとしたあんちゃんが娘さんとの交際を認めてくれない強面のスキンヘッドおやじに談判しにいったら暴力沙汰になってしまい、両者血みどろになっての殺し合いがえんえんと続くといった内容だろうと想像していた。
そして映画が始まる。
ハンマーを後ろ手で背中に隠しもったあんちゃんが、緊張したおももちで、マンションのベルを鳴らしてた。
すると、スキンヘッドのおやじがぬっと顔をだす。
「誰だ、お前は?」と問うおやじに、あんちゃんは「娘さんの知り合いだ」とこたえた。
おやじはあんちゃんを部屋の中へ招き入れる。
さかんに襲撃のチャンスをうかがっていたあんちゃんだったが、ドジって隠していたハンマーを落としてしまった。
このおやじ、実は刑事。
不審におもったおやじは、すきをついて奥の部屋から猟銃を持ち出してきた。
ついにハンマーと猟銃を手にした男と男がにらみ合うことになる。
そして・・・・

と、ここまでは想定通り。
しかし、ここから先がとんでもないことになっていく。
血みどろのグロシーンに、予想を裏切る展開の連続と、私のようなボンクラにはたまらない映画だ。
『とっととくたばれ』という邦題が、見事なミスリードになっていたのには感心した。
二転三転するストーリーも面白かったが、音楽の使い方も秀逸。
ここぞというときに、マカロニ・ウエスタンの決闘シーンで使われるような哀調のメロディが流れ出し、気分がぐぐっと盛りあがると同時に、妙におかしくってクスクス笑い通しだった。
ラストに流れた「朝日のあたる家」も含め、音楽の使い方にセンスを感じる。
音楽だけでなく登場人物たちの顔が、アップでスクリーンいっぱいに映るところなどは、あきらかにセルジオ・レオーネ監督へのオマージュだ。
全編を通じての奇妙な味わいと不謹慎な笑いに、数年前に見た『マジカル・ガール』を思いだした。

かつてはソ連の国旗に使われていたハンマーが凶器になったり、途中で登場する大金持ちの馬鹿息子が「RUSSIA」のロゴが入ったTシャツを着てるいっぽうで、おやじと戦うあんちゃんのTシャツには「バットマン」(=アメリカということか?)のマークが入っている。
いずれも、なんらかの暗喩のような気がした。
じつはそんなに深い意味はないのかもしれないが、そんな風にいろいろと勘ぐってしまうほどの刺激にあふれた映画だった。

ということで、ロシア映画なので、ブラボーではなく、ハラショーな1本。
傑作!!


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