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2020年08月06日22:24

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贖罪


『贖罪』
遺恨は愛憎の中で生まれ、救済は愛憎の最果てで生まれる。主人公たちは顔のない男を追っている。第1話は黒沢が彼の多くの作品で表すように、抽象劇の様相で表される。いつまでも少女のフランス人形は、生理をえて大人になる。大人になりケガレをもつよょうになる生霊は男を意識し、だから殺す。男は企業社会の冷徹な自己中なる理性。生霊にとりついているかのように表される主人公の麻子が死霊のように川の傍にいる。第2話の主人公の大きな両目が鏡に映る。彼女はその社会を見つめている。彼女は教育社会とその社会のモラリティと闘ってきた。いつまでも学級委員長の彼女はトラウマを見つめる。子供のことを考えるではなく、彼女の正義を貫く。男は教育社会的動物にある脆弱を表す。主人公は麻子に男の顔がはっきりと見えると言う。第3話、冬眠を続けるクマが麻子から取り調べを受け告白する。弱き者である少女を、男はたぶらかす。主人公はいつまでも少女であり、トラウマをひきずっている。3話までの主人公たちはいつまでも少女のままであるが、第4話の主人公は狡猾で強く、大人である。他者によって動かされるでなく、自身で奪う。彼女は赤ちゃんがお腹にいることで、空洞ではなくなったと言う。麻子に最も近い者であることが暗示される。第5話、麻子自身が招いた罪が少女に表される。愛憎に生まれる贖罪。顔のなかった男に、第4話までの男たちの人格が縮約される。廃屋のなかで、いわゆる黒沢清印の霊的現象が表される。影と光の明暗の分け方とそこで生じる音/音楽、回路の頃のクロサワ的である。遺恨は愛憎のなかに生まれ、救済は愛憎の果てに生まれる。はたしてそうなのか、ラストの麻子はそう問いかける。

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