『悪党』
ノリにノッてる近代映画協会の頃だからだろうか、小沢栄太郎、木村功、岸サンドウーマン今日子が出演しており、いやらしい話だが、キャストにはお金がかかっているだろう、おまけに時代劇だし、ズラや衣装や建物にも金がかかってるだろうと思わせるものある。Hな話はここまでにしておこう。かつて邦画クラシックをよく観ていたときにやたら気になったことで、五社を超えて、東野英治郎と小沢栄太郎は観ていく作品次から次にどの作品にも脇にまわって出ているな、というものがあったが、この作品の冒頭はこのバイプレーヤー2大巨頭のナレーションが続けて表される。そして本編では小沢が今まで見たなかで一番魅力的に思えるキャラこの作品で表している。滑稽なものもタヌキなものも、我儘執着ぶりも、棟梁らしい冷静な行動も、どれも面白いセンスを表している。冒頭の方、小沢栄太郎と乙羽信子、やり取りに関心がむく。クロースショットによる男女の切り取り、エモーションの妙が丁寧に表される。男女というより、タヌキ同士だろうか。いろんな展開になるが、このエスタブリッシュシークエンスと、そしてエンディングを考えると、小沢と乙羽のエモーションのやり取りがこの作品の支柱となると理解できる。小沢が出ている時代劇なので、溝口へのオマージュもあるのかな、と思って観始めたが、感情の彩が運命の糸を手繰るものが表されながらも、溝口の幽玄に比し、新藤はハラワタを表している。『人間』と『鬼婆』のギラギラに対してこの作品は落ち着きをもったものにみえるが、シンド―のエロスは確かに潜んでいる。
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