めも
★『アドレナリンドライブ』(矢口史靖;1999)
*不幸中の幸いが矢口にはいつも表わされているような気がする。物語的にテーマは偶然。矢口はいわば偶然を描くストーリーテラー。
*偶然とは突然発作的な発露である。それを矢口は爽やかに表わす。その瑞々しさは作品を重ねながら洗練されてくる。
*洗練されるとき、(誰しものインディペンデント作家が初期に持つ)毒々しさは軽減されていくのであるが、このテクストは矢口のメジャー作初期のもの、まだ毒々しさはある。
*計算された間。「計算された間(ま)」もまた、或いはそれが、矢口の最大の魅力なのかもしれない。『裸足のピクニック』、『スウィングガールズ』、『ハッピーフライト』、エトセトラ。偶然は計算された間が表わされながら描かれ、らいく あ ろーりんぐすとーん、笑いとスリルが転びゆき、どんどん変な形の大きなテンテコマイになってゆく。
・ 出来事は解決し最終盤の安藤政信が言う「夢みたいだったな」は、台詞がいけないのか、安藤の力不足なのか、それまでの流れをシラケさせるものとさせる。
・ ラストの、安藤が言う「どこに行く?」に対して石田が言う「どこへでも」はまぁまぁいいけど、リハを百回ぐらいやって撮影を臨んでほしかった観がある。矢口のここ最近のテクストで完成されているものは「計算された間」なのであり、偶然をストーリーテリングする矢口であるがそれにも関わらず、その間(ま)が彼の持ち味なのであるから。
*それでも、最終盤のお風呂に隠されたどんでん返しはなかなか気分を爽快にさせてくるものであった。水がマネーロンダリングする。矢口のストーリーテリングには、水などそうした爽やかにさせるナチュラルなものが常に表わされているのかもしれない。男子の海パン姿などあまり見たくないから観たことなかった『ウォーターボーイズ』であるが、やはりよいという周りの評判であるし、こんど観てみようと思うのであった。
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