10/4(土)、浜松市中央区にある龍雲寺にて、ダウン症の書家 金澤翔子の書展を観る。
・書展会期 10.4(土)~13(月)
・席上揮毫 10.4(土)
チラシに「最後」という文字が印刷されているので、どういう事だろうかと思われた方もいるに違いない。
金澤翔子(1985- )は今年6月に40歳になった。
新作制作を40歳でやめる、翔子は母で書家の康子と伴にこう発表した。
翔子は時計は読めるが、元々細かなスケジュールを定めて芸術と生活を管理していく事はできない。
40年を振り返れば、父親の遺言に従い一度だけのつもりで20歳の時初個展を開催。ところが、思ってもみない評価と展開に巻き込まれてプロの書家となった。
その年に母と約束したように、30歳になって一人暮らしのチャレンジを始めた。地元商店街の人々の協力も得て、一人で買い物をし、料理も掃除もできるようになり、母の心配を他所に実家にはなかなか帰ってこないとの事。
この年には『世界一大きい般若心経』を制作し、縁の深い龍雲寺に奉納、また、国連本部で「世界ダウン症の日」にスピーチを行った。海外でも個展を開いた。
2024年、39歳では「画廊・翔子」(2階)をオープン、更に「アトリエ翔子喫茶」(同1階)迄開いた。翔子はあの根っからの笑顔で、毎日のようにウェイトレスをしている由。
そんな事で、芸術以外のウェイトが高くなってきた。
そして、二人三脚で苦難を乗り越えてきた母が80歳を超えた事も大きい。母は42歳で翔子を出産したので、今年82歳の計算になる。
はたの人々からは見えないが、翔子の活動には、母の存在が不可欠である、殊に大作、席上揮毫(せきじょうきごう)などにおいては。
そんな事共を加味して新作制作の終了を決めたのだろう。
私はこれ迄に金澤翔子の展覧会をこの龍雲寺で2度鑑賞している。
(参/2021.10.4記)
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1980511102&owner_id=3341406
(参/2023.10.6記)
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1986070837&owner_id=3341406
他に常設展を1回、また彼女のドキュメンタリー映画『共に生きる 書家 金澤翔子』も観た。
(参/2023.8.7記)
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1985653157&owner_id=3341406
だが、目の前で席上揮毫する姿は一度も観た事がない。
今回が最後となれば、10.4(土)には何を措いても出かけたい。
龍雲寺のホームページによれば当日11:00~先着順で200名に整理券を渡すとあったので、10:00には着くように家を出ようと決めた。
前日になって寺の駐車場のキャパが80台迄と知ったので、寺の開門時間の9:30着と計画を少し前倒しした。
ところが、当日、寺に同時刻に着くと、もう山門から通りに出て列を作っている人達がおり、交通整理員が、駐車場はもういっぱいなので近くのスーパーに置くようにとの事。
やむを得ず、それに従って再度寺に戻ると、列は更に伸びており、最後尾についたものの先着200名に入るかどうか心配になった。
整理券は30分程前倒しで配り始めた。私は178番、何とか間に合った。
訊くと、整理券は100人分増やして300枚にしたとの事だった。一番早い人は6:30に並び始めたと聞く。
下は、雨の中、山門を入っていく人達。
席上揮毫は13:00~なので、先に書展会場を観て回る事とした。
揮毫は観ずに書展だけという人達は既に本堂内に入っているので、会場は朝からかなり混みあった。
今回40歳の本展に間に合うように少しずつ制作してきた作品は、『般若心経』からのものが多い。
母泰子は1990年、5歳の翔子に書を教え始めた。
書の基本は右肩上がりだが、翔子には「上がる」も「下がる」も分からない。
泰子は一緒に坂道を上がったり下がったりして、身体感覚で覚えさせた。
「平行」は、二人で線路脇をずっと歩いた。
10歳になって、『般若心経』を手本にする事とした。
『般若心経』は276文字ある。これを順番に、毎日大きな紙4枚に書かせ続けた。
翔子は文字の意味は理解できない。彼女は涙を流しながら1文字ずつ真似て書いた。
それでも彼女は、1行終わると「お母さま、ありがとう」と言い、暖かいミルクティーを入れてくれるようにもなった。
あの頃翔子は3,000文字は書いた。それで楷書(唐の初期に完成した)の基礎が身についたのである。これは大きかった。
10歳時のこの般若心経模写は、のち『涙の般若心経』と題され、20歳の初個展でメディアが採りあげ有名になった。
1985年には、僅か29歳で紺綬褒章を受けた。
30歳では、多くの人への感謝の思いを籠め、前述した『世界一大きい般若心経』も書きあげた。
閑話休題。
中庭の滝と池の鯉。
(続く)
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