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2026年03月17日17:20

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『ガンモ』覚え書き


* 『ガンモ』(Gummo 1997)購入したので観る。おもしろかった。けっこう何回も観ているかな。なにか印象的である。アメリカの生活観が出ている。画一化されないような個性、或る種の狂気の持ち合わせ、孤独もまた其処にある、そんなアメリカン観。

*最初は家ん中が汚いな、と印象だったけれど慣れてしまっているのかそれをまったく感じず、生活感ある造りだな、となる(じっさい、虫が湧く家での撮影などアクターたちは嫌がったらしいけれど、ハーモニーコリンはビビるなと率先だって虫に刺されたって平気、とカメラマンと一緒に裸になって撮影に挑んだらしい(でも、それを目撃するアクターたちは虫と裸のおっさんらで逆に二重の恐怖に陥ったのではないか?))。

*フィクションだけれどドキュメンタリー性も取り入れている。例えば、殴り合うスキンヘッドの兄弟同士、終盤の方では、まだ殴り合うの?というような目線をカメラの方に送ったり、と、現実を抽出もしているのである。

*ガンモというタイトルはマルクス兄弟のガンモからとられた説で考えると、マルクス兄弟の映画に出てくるような奇妙な人物たちといった、コメディ映画だったら愉快な仲間たちになるけれど、ドキュメンタリー性も取り入れている本作品ゆえにリアルが現出して、楽しいだけではなく悲哀も浮き彫りになり、ユーモアと皮肉が二重にアイロニーするものが映像に現出される。また、ガンモの響きがストレンジだからこのタイトルにした説を考えれば、ストレンジにして周縁にいる人々のむきを考えはする。ストレンジにして周縁、それは実は多くのヒトにあるもの。本作品の持つドキュメンタリー性はそのことを浮き彫りにし、我々と同様にいたって普通にいる人間性も顕しているのである。作品には普遍性が在る。

*猫を好きな姉妹と猫ハンターの男子たちのハナシが並行するセンスは、当時まだ10代のコリンを一躍有名にした、彼が脚本を担当したラリークラークは『KIDS/キッズ』の、エイズにかかってしまい知らせようと相手の少年を探す少女と自身がエイズになったのを知らずにガールハントを続ける男子のパラレルものとニアリーイコールなストラクチャーしている。思えばコリンのテクスト(作品群の織り成し)、男性は可笑しさも含まれる狂気を表し、女性は慈愛を表している。

*伝説のスケートボーダーであるマークゴンザレスが腕相撲のシークエンスに出演しているが、コリンやスパイクジョーンズはNY時代にスケートボードをやっていて、それ関係でソニックユースやビースティーボーイズと知り合い、映像の世界へ導かれた観がある。スパイクジョーンズはソニックスの”100%”のMVとビースティーズの”Sabotage”のMVを、コリンはソニックスの”Sunday”のMVを監督している。

*アメリカのアイロニー、悲哀、ペーソス、喜怒哀楽が素直に、そして素朴に浮かび上がる。アメリカにいたとき思ったのが、ここはジャングルかと思うぐらい、奇声をあげたりと、ある意味は個性の剝き出しのアメリカンの姿だけれど(アクセルローズがウェルカムジャングルと言ったのは言い得て妙である)、フレンドリーで陽気な反面、孤独感におおいに苛まれているアメリカの姿をいい感じで表しているな、となる(だから、アメリカン人にノーマンロックウェルは愛されると同時に、エドワードホッパーやアンドリューワイエスの「クリスティーナの世界」も好まられている)。そしてもちろん、逆に、鬱ばかりではなくアメリカンならではなユーモラスな姿や感性もまた表されている。本作品まさに”アメリカ”を表す作品であることが言える。



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