『甘い抱擁』
何がジェーン系列のヘンな雰囲気ので、暴君女が最後はツケが回ってきてトラジェディといった話かと思っていたら、そんな単純なものではなかった。おもしろかった。オリジナルの舞台がトニー賞の候補になるぐらいだから、そんなシンプルなわけはなかった。ショット分けや確執あるメロドラマ構成、なにかテネシーウィリアムズの映画化作品を喚起させてくれるものもある。でも、アルドリッチの域に引き入れて創作はしてるんだろうな。お得意の、内幕もの、センセーションを伴ったウィアードな雰囲気、気取ったスーツ族に対する怒り、未知の目的へと向かうこと、罵声が伴った対立、とアルドリッチ色が満載である。特攻大作戦のヒットで自身の映画スタジオを所有することができ、そこでの第一作である本作(映画スタジオをもつことに意義があるのはやはり、その時代の監督らしい欲望である)。主人公ジョージも嫉妬に狂って罵声を浴びせたり、相手を服従させたりと、暴君的な側面を表したりするが、怒ったり泣いたり、そしてユーモラスな面も表したり、愛すべきキャラで人間味をよくだしている。それに深い。人間的な深さがなければ、おもしろくはないのは当然である。彼女の心情が、映画のショットだからこそ伝わってくる。テレビドラマでは気のいい優しい伯母さん看護師で、実生活では暴言も気にせず言ってのける泉ピン子さんの渡鬼とバラエティの違いのイメージだけど、人間の悲哀がとても届けられてくる。これを観ると、リーマーヴィンとアーネストボーグナインもベティデイヴィスとジョーンクロフォードも、人間味を表す作品のためのキャストとして必衰であるのだな、と理解できてくる。
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