『ビル・カニンガム&ニューヨーク』(Bill Cunningham New York;2010)
ビル・カニンガムはノーマン・ロックウェルのようなヒトだ。ノーマン・ロックウェルに会ったこともなければ、映像で彼を見たこともないのに、そう思えてしまう。勤勉でユーモアがある。そして、孤独な感じするところも。
最終盤、NYで誠実であることは大変だ、それは風車に向かうドン・キホーテのようなもの、という言葉が出てくる。しかしながら、この街にはたしかにドン・キホーテのようなヒトはたくさんいる。カニンガムが宗教のバックグラウンドをいうところあるけれども、これもまた、ロックウェルの日常を描いた絵画に通じるものみえてくるもの。勤勉でユーモアあって孤独なところ、それが真のアメリカ人の姿とリンクする。それはたぶんWASP寄りにみえるものなのかもしれないし、キャプラ、或いはフォードが信じて譲らない、もしかしたら偶像的なものなのかもしれないが、ビル・カニンガムは寓意を彼の内に静かに保たせ、幾枚にも撮られたフォトに表されるような変わりゆく風俗世界を、暖かな人間性の真のものとして現(あらわ)とさせている。
そこには社会に生きる人というものが写し出されている。人のもつ普遍性に、彼の人間性は写し取られている。優しさや暖かさは人を悦へと導くものであるはずなのだから。
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