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2026年06月11日13:26

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『ションベン・ライダー』覚え書き


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☆『ションベン・ライダー』(相米慎二 1983)覚え書き
*購入したので観る。プロットが弱いのかな、弱く見えてしまうぐらい映像から沸き立つエナジーが強く見え、エナジー燃えに燃えている。プロット的には中学生3人組のひと夏の経験的な仁義の通し方&昔気質のヤクザがボスの裏切りにあいながらもの仁義の通し方との共犯関係か。されど、昔気質なヤクザが堕ちるさまが、水攻めが表されるからか、学生運動がオーヴァーラップされながら描かれるように思えるけれど、そうした物語から垣間見える人間像よりも、相米長回しのなかでキャラや景色が生み出すエナジーの方がプロットなんかどうでもいいぐらいに熱く語ってくれる。
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*相米慎二のテクストでは供儀が伴われる宿命的空間が表されるが、本作はデブの誘拐にともない仁義の世界に引き込まれてしまうションベン・ライダーたちと横浜を根城にする名無しのゴンべーや悪徳警官が横浜という宿命的空間で花を咲かせ花を散らす。
*ぴあ文化で芽生えた軽チャーを表す森田芳光のテクストに比すれば相米は昔気質の長谷川伸的な世界観だと思うが、学生運動にも足を突っ込みたぶん加藤泰も好きであったろう(註1)相米の男の一本道が本作品には表されている。河合美智子が「僕」を言い通すのはそれもあるからであろう。ションベン・ライダーたちはオトコを通す。
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*でもラストは子供らしく、デブナガと大仲直り。デビュー作『翔んだカップル』を制作するにあたり、なんでお子様ランチみたいな映画をやんなきゃなんなんいんだと漏らしたとも伝えられる相米であるが、本作は偉大で凄まじいばかりのお子様ランチ映画である。歌『セーラー服と機関銃』の作者 来生たかお作詞作曲のアイドルっぽい曲もまたランチに素敵な味付けを施す。

*しがらみと共存せざるえない状況もまた相米テクストの特徴のひとつであるが、ゴンべーも、デブナガとケリをつけると言うションベン・ライダーたちもその状況のなか翻弄されたり活躍したりと仁義を通す。
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*通過儀礼として主人公の新しい門出をもたらす出来事として、その宿命的空間は導く。それもまた相米テクストの特徴である。藤竜也は遂にはその役目を終わらせるかのように倒れ込み、代わって出てきた子供たちは新しい道を切り拓くことを予感させる。
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*自転車を漕ぎつつトラックに飛び乗る永瀬正敏は凄かったし、相米慎二没後のトークイヴェントの映像で知った橋から飛び降りほんとに失神してしまった河合美智子(註2)や火あぶり寸前だった伊武雅刀など、あれこれエピソードが詰まっている相米長回しのショットたち、いろんなエナジーが熱く語ってくれる凄い作品である。

*註1: NHKの朝ドラで人気を博し映画ほとんど初出演の原日出子が団鬼六されるのは、同じく朝ドラで人気を博し映画ほとんど初出演の真木洋子が『日本侠花伝』でされたプレイと偶然の一致かはたまた運命か、それとも相米の頭の中に『日本侠花伝』の真木洋子があったのか。
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*トークヴェントで教師役の原日出子は、本来は橋から川に飛び込むシーンはなかったけれど、可愛い生徒の河合美智子が飛び降りたのに先生が飛び降りないわけがないという流れに何故かなってしい、映像ではそこまで高くは見えないけれど高さ10メートルはあった川に橋から飛び降り、失神している河合を助けるため泳ぐのをやったあと、川から上ってきて、コノヤローと言って相米慎二を殴ったとのこと、笑って言っていた。電柱から降りれないデブナガをおろすシーンも、映画ではそう高くは見えないけれど、3階建ての家の高さぐらいある電柱をよじのぼって、降りるときはロープでしっかり固定されていたデブナガ役の少年にほんとにしがみついて下まで降りたこととかも言っていた。テレビの仕事しかやっていなかった時の初めての映画の仕事、映画ってホントに過酷なんだと痛感したけれど、その後の映画の仕事はこれほどまでにはたいへんではなく、なにか物足りなくあの日のことを懐かしく思い出す、と相米への感謝も述べている。


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