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2026年03月27日16:57

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『私がやりました』覚え書き


*『私がやりました』(仏Mon crime 英 The Crime Is Mine 2023;フランソワ・オゾン)おもしろかった。フランスで大ヒットしたとのこと。

*演劇的なハリボテなところ、同じく大ヒットしたオゾンは『8人の女たち』を想起させる。

*オープニングクレディットにおけるプールに映る邸宅、それはオゾンがいつも展開する現実と曖昧になる虚構の徴。オゾン印。推測(想像)と現実がゴチャになり、やがてその曖昧性を極めてゆく。

*冒頭のほう、流れる音楽はバーナードハーマン的、それすなわちヒッチコックをリマインド。サスペンスはやがて、バルザックよろしく、人間喜劇へと変化を遂げる。

*トレーラーを観ると、なんかロブマーシャルは『シカゴ』っぽいなと思わせるけれど、本作は原作が1934年の戯曲、でもってヒットしたんだろうな、2度もハリウッドで映画化されていて、で、『シカゴ』は原作はボブフォッシーでしょ?で初演が1975年、なんだシカゴがパクってるのかと、となるも、も少し洞察すると、原作は分からないけれど映画化作品ふたつでは女優と弁護士コンビは異性同士のカップル(だからたぶん原作もそうだろう)。本作品で女性ふたりのバディものとなっている。女性がタッグを組んでスキャンダルを土台にして成りあがるのはやはり『シカゴ』を下地にしている観がある。

*時代的にも原作がそうだろうから、ジャズエイジを描いた『シカゴ』に似ているけれど、スキャンダルを利用した売名行為、そしてフェイムを掴むがまさに『シカゴ』。でも観ていくと、『シカゴ』のアメリカに対するモンクライムのフランスが出てくる。

*『シカゴ』は愉しいし好きな作品だけれど(オープニングクレディットと主演ふたりの久しぶりの再会、そしてふたりが歌い踊る最終盤はいつになく何度も観ちゃう。でももし観るのなら、まずはそれらのシークエンスを観る前に一通り観ることをお勧めします)、倫理に厳しいハリウッドでよくもまーオスカーを獲得したな、となるも、これもアメリカのエンタメも纏ったキャピタリズムの行きつく先か、そしてさらに行きつく先が現在のトランプか、となるけれど、それに対して本作品はフランスらしく英語ならリバティ、フランス語ならリベフティを清く尊くリスペクト。女性のそれを主張している。なにをもって正義なのか、を主張する。さすがマリーアントワネットと御主人ルイ16世をギロチン台に送っただけのお国柄である。さすがオゾン、『グレース・オブ・ゴッド 告発の時』でカソリック教会を糾弾しただけあるわけである。

*まだ女性に選挙権のない時代での女性の躍進を表すのだから主人公を女性ふたりに変更したのだろうけれど、オゾンらしく、同性愛の匂いもさせる。風呂にふたりで入っているシークエンスやフェイム獲得に成功し花束が届くシークエンスでの、ポーリーヌがマドレーヌに向ける視線がそのこと語らしおん。

*『シカゴ』のカラッとした渇きと明朗快活に比すると、確かに明るくはあるけれど、カラッとというよりかはウェットである。日本のウェットとは違って、涙とラヴィアンローズの雫、そしてワインの香りを漂わせるウェットである。





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