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2025年12月29日17:49

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ゴシックとフランスとエフェクト(2)

つづき


☆『ヴィドック』
 『ヴィドック』(Vidocq 2001)をレンタルし観賞。おもしろかった。ヴィドックは実在の人物であり、ジャンバルジャンのモデルともなった人物であり、パリ警視庁の嚆矢となる犯罪捜査局を創設した人物。よって本作、激動史の荒波のなか生きた人物の推理サスペンスアクションとなる。これって3Dを念頭において制作されたのかな?身体の局部が堂々ドーンと表されダイナミックな映像であり、2ディメンションだけれど3Dのような迫力がある。本作は観客動員はよかったけれど、批評的には芳しくなかったようだけれど、私的にはおもしろさある。時は1830年、ということは7月革命の頃、復活した王政ブルボン朝が倒されるときの時代である。警察官僚が、王党派や民主派やボナパルト派(つまりナポレオン信奉者たち)エトセトラがあちこちの路上で論説している、警戒せねば、とそんなことを言っている。市民の誕生と人々が自我をアピールする時代。されど、いつ打倒政権といった騒ぎが起こるか分からない危険な時代。そうした不安を怪人がかぶる鏡仮面は映し出しているのだろう。不安の象徴の如くな怪人。アヘンとアブサンと危ない変態行為をする野郎どもが本編あちこちに表される。不安が助長される。オープニングクレディットにマークキャロの名前を見つける。なにをしたのだろうと後で調べると、怪人のキャラデザインのようである。デジタル映画創成期の作品、監督のピトフはジャンピエールジュネ単独あるいはジュネとキャロ共作の一連の作品でヴィジュアルエフェクトを担当している。エフェクト畑をずっとやってきてそのテクに長けているヒトなのだろう。犯人が誰かもけっこう想像できるけれど、それでも、間延びせずおもしろく観られる作品であるな、となる。神秘的で退廃的なゴシック、それは時代を映し出す怪人の顔に表されるもの。時代のいびつさがそこにはあり、それは2001年のフランスや各国に起こっている異状も映し出し語らしおん。

☆『ジェヴォーダンの獣』
 『ジェヴォーダンの獣』(Le pacte des loups / Brotherhood of the Wolf 2001)をレンタルし観賞。おもしろかった。インターナショナリーにコマーシャルヒットしている映画監督を調べたら、リュックベッソンとジャンピエールジュネとともにクリストフガンズの名前がある。ベッソンは英語の作品もあるしプロデュース作品も含め売れ線映画が多数なので分かるし、ジュネの場合はなによりアメリが各国でバカ売れしたようで理解できるけれど、ガンズ?誰それ?と、初めて聴いた名前、で、調べると本作品がフランスだけではなく各国でもヒットしたようである。実際にあった事件をベースにしているけれど、この獣の正体は捕獲されたにも関わらずいまだ謎のまま。ニエプスの写真発明は1827年、で、本作品の時代は登場人物が言及するには1764年、写真にはその謎の獣の姿がおさめられることはなかった。ネッシーやイエティといったいるのかいないのかの未確認動物と違って、本当に殺戮を繰り返し目撃者も多数、おまけに確保されてもいるので謎は深まるばかり。本作品は新説をかかげる。も、製作チームが掲げる社会テーマに沿ったものであろう。ところで本作品、まだ2001年はワイヤアクションが全盛の頃、ジェットリーなんかのカンフーアクションが世界を席巻していた時代なのかな、ガンズはその影響をもろに受けているかのように、水と火をシンボルとして印象付けさせ、モウマンタイにチャイニーズアクションは披露する。コンピューターグラフィックスの獣よりもワイヤーアクションの方に目がいった。物語的には愛と宿命の泉かのような大河ドラマ風(愛と宿命の泉、観たことないけど)。こうしたドラマ仕立てのなか、獣のハンティングに出発するその寸前に、主人公は女性にデートの誘い、そして10日後と言われると、そんなに先〜〜?と驚く始末。この主人公、獣を退治する気がほんとにあるのか?とこちらはいぶしがるも、フランス人ゆえ恋は日常茶飯事、こうしたふざけた行動もフランス人オーディエンスは暗黙の了解をするのだろう。でも、愛の大事さもプロセスのなかだんだん強く顕されきて、なるほど、あれも伏線としては大事なのか、となる。この主人公を演じるアクターははじめて知ったけれど、彼が愛する淑女、誰かとチェックすると、へー、ロゼッタなんだ、とサプライズ。たしかにダルデンヌ兄弟のロゼッタ、綺麗だった。ダルデンヌ兄弟のドキュメンタリーな作風だからか、演じているのは素人さんかと思っていたけれど、職業俳優だったのね。でも驚いたこと。彼女はもう亡くなっているのか、魚喃キリコの死なみにショックを受ける。ノエはアレックスでの夫婦共演でも話題になったヴァンサンカッセルとモニカベルッチ、このときもすでにご夫婦だったようであるが、ふたりが交わるシーンはない。けれど、ふたりとも最初は他の人物たちに交じって登場人物のなか埋もれているかのように表されるけれど、ふたりともプロセスのなかやがてその存在を際立たせてゆく。どちらも隠密かのような存在であり、その在り方もまた中国の宮廷を舞台にしたカンフーアクションに影響されているかのよう。作品中にヴォルテールの名前が出てくるが本作品の時代設定は1764年、ルイ16世が即位する前の時代、啓蒙思想が流行りになり皆が熱狂ゆえ、人間主軸の時代への変容、神の行方は探される。VIVA!ヒューマン!混乱の時代の始まりだ。ギロチンに送り込まれる貴族を憂いもって表すのは、過ぎ去りゆく品位をベルエポックしていることなのか。獣の死はフランスが後に行うアフリカ横断政策や英仏協商といった植民地政策への批判的リマインドか。次の時代に向かう男女の姿、不安を前にして航海する。しかしそこには、確かにアムールが顕れている。愛がある。それから24年後の現在、サルコジは逮捕されマクロンは支持率25%、おまけにヨーロッパは対露の緊急事態。トランプは各国に強い国が言うことに従えばいいんだと語らしおん。そこに愛はあるんか?と、大地真央先生が仰っています。ところで先生、ベルばら演じたことあったっけ?たしかあったよね。




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