オーバー・フェンスおもしろかった。エスタブリッシュ・ショットのどんてんの空に飛ぶ鳥たち、ラストのホームランはその空を崩し晴天へと変えるのか、それとも、そこに入り交わり合うのか。職業訓練校のストレンジャーズ、ひとは誰しも出会う前はストレンジャーであろう。素性が分からずきな臭くピリピリ感も学校には漂う。けれど、山下敦弘らしく青春ものの雰囲気もまたそこにはある。蒼井優はさらに明るく、さらに意味深にストレンジャー。きな臭い。でもそこにはミステリアス小説のような、きな臭さはない。青春ものだもの。いや、やっぱり、あるかな。一番のストレンジャーは主人公のオダギリジョーなのかもしれない。ミステリアスだ。ポールオースターのように自分探し。昨日と今日と明日のジョー、自身が掴めない日々が続くばかり。優香は狂ってしまったし、蒼井優は前よりさらに狂ってしまっている。オダギリは愛されすぎて相手をとうとう狂わしてしまう魔性の男にとてもフィットする。それも個性の一つ。気違いが街に放たれている。みんな気が違う。それぞれの個性がある。自分は探せない。ただ行き交うのである。あるがままにあるがままの自身を受け入れるのである。白い羽々は空から舞って降りてきた。優は笑った。私たちはそこに集うのだ。解放される。仲間になれる。
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