『小さいおうち』
恋をしたらココロ此処にあらず、というところは寅さんっぽい。無邪気に背徳をしているのは松たか子だからこそ出来る技。恋をしたら誰しもそれにまっしぐら。だからヒューマンであるのであろう。寅だって、そうである。サクラ的な真心もいい。米倉斉加年が小さい罪、もう忘れたっていいものだとタキのことを言うが、タキのもつもの、小さいかもしれないけれど、そうした真心がどんなマクロ社会であっても在ること、山田ワールドらしいのである。倍賞千恵子や蒼井優等によって演じられてきた“その社会の良心”、賞は必ずしも必要ではないはずであっても、黒木華が銀熊賞をとったことは、彼が描いてきた日本的なもののひとつが普遍性あること評価されているようで、山田洋次はきっとご満悦なのではないだろうか。なんの害もないような相変わらずの山田ワールド、だけれど、そのなにもなさがいいのかもしれない。
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