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2019年12月05日23:35

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映画日記 『男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け』

2019年12月5日(木)

『男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け』(1976年)
監督:山田洋次
名駅・ミッドランドスクエアシネマ

寅さんのデジタル修復版上映の1本。見るのは2回目。
マドンナ役が太地喜和子だった。
好きな女優さんだが、スクリーンで彼女の姿を見る機会は、これからそうそうないだろう。

久しぶりに柴又に帰ってきた寅さんが、いつものようにおいちゃんやタコ社長と喧嘩になり、プイッととらやを飛び出してしまう。
さくらがとりなし、なんとか戻ってきたのだが、小汚い爺さんがいっしょだった。
この爺さん、朝になっても起きないし、起きたとおもったら朝風呂に入りたいとおばちゃんに催促し、そのうえ昼は近所の一流店でツケでうなぎを食べてくるしまつ。
寅が爺さんに文句を言ったら、「ここは旅館じゃないのか?」と困った顔をして、さらさらと満男の画用紙に墨絵を描いた。
爺さんから言われるままに寅がその絵を神田の絵画を扱う古書店に持ち込むと、思いがけない高額で買い取ってもらった。
おどろいた寅がとらやに戻ると、爺さんはすれ違いに帰ってしまっていた。
寅が古書店でうろ覚えに聞いた名前を告げるとさくらが驚いた。
「えっ、あのお爺さんは、青観なの!」
小汚い爺さんは、実は日本画壇の最高峰と呼ばれる池ノ内青観だった。
そして、ふたたび旅に出た寅がその青観と再会する。
ところは播州龍野。
播州龍野は♪夕焼け、小焼け〜の童謡「赤とんぼ」を作詞した、詩人・三木露風の故郷であり、青観の故郷でもあった。
生まれ故郷のために絵筆をとるという青観の帰省に、市役所をあげての宴会がもうけられた。
同席することになった寅は、ぼたんという名の陽気な芸者と出会い、意気投合するのだった・・・・

今回は寅さんが珍しく「振る」ほうに回る。
振るといっても、寅さんがマドンナのぼたん姐さんの女心に気づかなかったということか。
痛々しい寅さんを見なくてすむのはありがたいが、そのかわりぼたん姐さんがちょっぴり可愛そう。
喜怒哀楽を、振幅の大きい芝居で演じた太地喜和子がすばらしい。
不慮の事故で、若くして亡くなったことが、ほんとうに残念だ。

飄々とした青観を宇野重吉が楽しそうに演じていた。
セリフを交わすことはなかったが、息子の寺尾聰と同じシーンにおさまっていた。
その青観と若い頃に訳ありだった老女を岡田嘉子が演じていた。
岡田嘉子が長い年月を経て再会した青観にむかってというより、カメラの向こうにいる私たちにむかって「若いころの間違いは、誰だってひとつやふたつありますよ」といったセリフを言う。
あらためて見ると、彼女自身の身の上を語っているようで、妙な気分になった。

余談になるが、日記を書くにあたり確認のためにウィキペディアで「三木露風」を検索したら、戦前の名映画カメラマンで、戦後も『東京オリンピック』や『飢餓海峡』に協力した碧川道夫は、彼の異父弟にあたるのだそうな。
へえー、だった。


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