本●「山田脩二　日本の写真家　３９」

本●「山田脩二　日本の写真家　３９」（岩波書店）
山田脩二：写真

「山田脩二　日本旅１９６１-２０１０」（平凡社）に続いて、写真家・山田脩二の写真集。
こちらも１９６０〜７０年代にかけて、山田脩二が日本各地を撮り歩いた作品が収録されている。
巻末に写真評論家・飯沢耕太郎のインタビューや略年譜が載っていた。
山田脩二はもともと建築写真家だったみたい。
そんな彼が、「どん行列車の旅」みたいな鉄道本に写真を提供することになったのか、略年譜からその経緯がうっすらと浮かんでくる。
鹿島建設が出していた「ＳＤ」（スペースデザイン）という建築雑誌で仕事を始めた山田脩二は、その後、「どん行列車の旅」の著者・千田夏光とのコンビで「毎日グラフ」に「現代の造形美」、「都市の構造美」といったタイトルの連載を持つことになった。
千田夏光はたしか毎日新聞の記者だったはず。
「毎日グラフ」での千田＆山田のコンビは、通算6年も続いた。
そんな気心の知れた間柄から、「どん行列車の旅」に写真を提供することになったのだろう。
そんな昔話を掘り返したところで、何の役にもたたないが、この歳になって偶然出会った山田脩二という写真家の生い立ちや作品の背景には、やはり興味がわく。
それは、古い東映映画、『警視庁物語』シリーズで知った村山新治監督の本をむさぼるように読んだことと同じだ。
ところで、山田脩二は数年前に新作を出版していた。
愛知県や名古屋市内の図書館にはなく、尾張旭市の図書館が所蔵している。
自慢じゃないが、尾張旭市がどこなのかよく分からない。
図書館の場所探しからはじまって、1冊の写真集をながめるために、ちょっとした日帰り旅行をするのも楽しそうだ。