「よくやりました」
灯莉「ありがとうございます」
この日、魔王退治を終えた灯莉は居間で母親と夕食にしていた。父親は残業でまだ帰っていない。
倒した魔王はあの、家出して熊のような妖魔のいた森の奥にいた魔王だ。おそらくあの妖魔の親玉と思われる。同じ宝器をもつ仲間たちを倒してきたところだ。その者達がいうにはこの武具は神星器といって、全部で12種類あるのだとか。
「仲間がいたとはいえ、よく生きてもどりました。レインヴィルのおかげね」
灯莉「はい。でも適合できたのはこの子のおかげです」
そう言って傍らで一緒にごはんを食べているぽん太をみた。「きゅ〜?」と灯莉を見上げてくる可愛い顔に自然と微笑む。ぽん太がいたからこそ、今の自分がある。ぽん太がいなかったらもしかしたら今頃・・・・生きてはいないかもしれない・・・・。
「しかし・・・・12種類も宝器があるとは・・・・」
灯莉「私も驚きです。でも仲間がいっぱいいて頼もしいばかりです。とくに火神博人さんという人と八坂健一さん、刹那さんという人が。すごいんですよ?素手で魔王と戦うんですから」
「武器も持たずに?どのような強さなのか・・・・」
素手で魔王を倒す男3人。母親の脳裏には炎を操って魔王を焼き殺す映像が再生されていた。その想像はあながち間違ってはいないのだが。
夕食後、急に携帯が鳴り、電話に出る。要件はその話のあった仲間からで、出撃要請の電話だったすぐ行く旨を伝え、レインヴィルを手にする。
「あら・・・・出撃要請?」
灯莉「はいお母さん。行ってきます。ぽん太。ちょっとだけ行ってくるからね」
レインヴィルを胸に抱え、電管を出る。電話だと、迎えがきてくれるとの事だが・・・・
「あ、いたいた。お〜い」
声は前と上?から聞こえてきた。1人は私服だが、上から羽をつけた女の子はどこかの学校の制服姿だった。地上?から来た女の人は御影優姫といい、宙からおりてきた方は辻あやというらしい。地上からきた御影優姫はたしか・・・・熊妖魔の親玉を倒した時にも会った。高校生のお姉さんだった気がする。辻あやは羽をつけているからして・・・・人ではなさそうだが・・・・深くは突っ込んでいない。
「待った?」とニコニコ顔の御影優姫は宝具・・・・神星器という武器持ちではないのだがかなり強い。手から様々な武器を出せるというが、先の戦いでは身の丈より大きな鎌しかみていない。「好きだから?」と答えるが本当かどうか。
灯莉「いいえ。今出てきたところです」
あや「じゃあちょーどよかったねー。じゃあさっそく行こっか」
陽気なあやの言葉を聞いていると・・・・何人もの能力者が殺された魔王のところにいく雰囲気が全くしないが・・・・まぁムードメーカーとしてはいいだろう。
あやが飛び立つ。優姫が歩きだす。灯莉は家を振り返る。
灯莉「行ってくるね。ぽん太」
優姫「ぽん太?」
灯莉「レインヴィル適合の恩のあるタヌキです」
優姫「タヌキが!?」
大笑いされたがまぁそんなもんだろう。
レインヴィルに適合した灯莉の戦いはこれが3度目。これから幾度となく戦いに赴くだろう。
しかし忘れないだろう。適合した時の事を。あの時の気持ちを。想いを---------------
---------------------------------------E N D----------------------------------
ログインしてコメントを確認・投稿する