mixiユーザー(id:3341406)

2025年12月25日23:09

99 view

スイッチインタビュー 佐野史郎×桜木紫乃~1

12.5(金)と12(金)、いつものように2回続けてNHK-Eテレの「スイッチインタビュー」が放送された。
今回の対談者は俳優 佐野史郎と小説家 桜木紫乃。

フォト

EP1は、「家じまいとは、家族とは」。
EP2は、「書く事で知る父と家族」。

佐野史郎(1955- /70歳)は、幕末から160年も続く医師の家に長男として生まれ、5代目として家を継ぐ筈だったが、弟が医者となり、自身は役者になった。御存じの通り、佐野はかなりクセのある人物を演じる事が多い。
佐野には家を継がなかった負い目が心の片隅にあり続けた。
母が92歳で亡くなったのをキリにして、今回、島根県松江市のある旧家を「家じまい」する事になり、殆どもぬけの殻に近くなったその家で2人の対談は行われた。
佐野の表情には悔いも垣間見られた。

彼が相手に選んだのは桜木紫乃(1965- /60歳)、郷里北海道を舞台に夫婦、親子、家族の本質を問いかけてきた小説家である。
直木賞を受賞した短編小説集『ホテルローヤル』(2013)は、実父が借金を重ねて建てたラブホテルの名前そのもので、そこに泊まる客や経営者家族、従業員などの赤裸々な人間模様を描きだしている。

大変に面白い相互インタビューだったが、今回は、EP2、佐野が訊き手、桜木が答える回の後半のみ、なるべく会話をそのままレポートする。

桜木紫乃(1965- )は24歳で結婚。2人の子の母となるが、その頃から書きたいという衝動に駆られるようになった。デビューは『永平線』(2007)。
私が2012年に読んだのは『ラブレス』。
以下参照。(2012.4.25記)
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1840482956&owner_id=3341406

桜木「結婚したあとには、親のインチキさ加減が1つ2つではきかないくらい見えてくる。こういう事では男は手を挙げないとか、子供が産まれるとこういう気持ちになるとか。
じゃあ私の親は何故ああいう態度を示しただろう? 子供らに何であんな場面を見せたんだろう? 
いろいろ謎だらけになって、信じていたものがどんどんはがれていく。自分の中で折り合いがつかなくなって選んだのが、小説を書くという事だった。」
佐野「書かざるを得ない事情があったの?」
桜木「いや、彼(父)を書くと自分も見えてくる。小さい時から何でだろうと思っていた事に答えが出てくる。どうしてあんなに始終けんかばかりしていたのか、何となく分かるような気がしてくる。」

佐野「書きたい事柄は、家族の事含めて、私にもある。でもそれを書く事の恐ろしさの方が先に立って、とても書けない。桜木さんは平気なの?何故書けるの?」
桜木「だってフィクションだもん。」
佐野「いや、それは確かにフィクションだけど(建て前は)!
でも、…まあそれはそうか。私も、演じるのはどんな変態の役でも平気だもの。」
桜木「そういう事です。」

佐野「でも、実の家族がいますよね。」
桜木「誰も何も言わないです。何か言ったら書かれちゃうと思っているのかしらね(笑)。
(変な言い方だけど)美味しいですよ!それ。何か言われたら、それは私にとっていい材料になりますから(笑)。」
佐野「うわあ、作家って怖い。」
桜木「全然、そんな事ないですよ。(そのネタを誰からどのように得たにしても)自分の書いたものを確かめている時間は、毎日、今日も何かを産んだという気持ちになります!」
佐野「ウソ偽りなく?」
桜木「いや、ウソ偽りを書いて(笑)!」
佐野「そうか。そのウソ偽りというフィクションの中で…」
桜木「フィクションの中じゃないと、本当の事なんて分かってこないんだと思っています。」

佐野(苦痛の表情)「そこは何だろうなあ…」
桜木「誰も本当の事を自分の口から進んで語る訳なんてない!」
佐野(更に苦痛の表情)「私の悩み、相談させてもらってもいいですか?」
桜木「何か?」
佐野「桜木さんの表現は、フィクションですから元々"ウソ"という前提になっていますが、"ウソ"をかき集めた展開は"自然"に見えないとダメですよね。」
桜木「そう見えるようにする事、それが文章の芸という訳です。」
佐野「でも、僕の仕事は芸をする事ではなく、それらしく写っている事が大事で、あからさまに芸を見せるようではダメなんです。でも、それは私には難しい。どうしたらいいでしょう?」
桜木「ええ〜(笑)」
佐野「それができずに50年も続けているんだけど、結局できない。明後日の現場もカメラの前で演じなきゃいけない。どうしたらいいものか?」

(続く)
 
1 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2025年12月>
日 月 火 水 木 金 土
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031