2日間の万博三昧。大リングすら愛おしく見えてくる
《ミャクミャク2》承前
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”ナポリを見てから死ね”或いは”日光を見ずに結構と云うな”
我が人生、日光は行ったので結構と云えるが、ナポリを見たことがないので死ぬことはない。
ミャクミャク語で例えるなら『イタリア館だけで億博の価値』
カオス。
予約の取れていない有象無象が大リングの下に渦巻きを作り180分待ちが当たりまえ。
3時間もあれば、ナポリの窯に行ってピザを喰って帰ってこれるだろうに。
イタリアンの血をひく川オス(←おいら)は、当然のように事前予約をゲット。
超絶な混雑を脇にみて、予約時間オンタイムで悠々と入館する。
入館するまでにアプローチで5分ほど待たされたけれど、そんなこともアルデンテ。
まったく問題はない。
『PORTRAIT OF ITO MANCIO』(DOMENICO ROBUSTI/DETTO TINTORETTO)
ドアが開かれると、そこにはまるでトーハクの大展示室のような解放感。
ガラスケースには、伊東温泉のマンション管理人のようなポートレートが迎えてくれた。
大阪生まれの日本+イタリアmixの青年が、優しくガイドを務めてくれた。
彼の指示で天井を見上げると木製のセスナ機が骨組みを見せている。

「紅の豚。この映画に登場したサボイアです

ポルコが乗ってました。」
一同、OHHHHH!
『CIRCULATORY SYSTEM』(JAGO/2017)

「心臓30個のインスタレーションです。回転して並べてあるので動いている感じがするでしょ

」
動いている感じは微塵もなかったけれど、近いうちに訪れる国・イタリア。
素直に動いているとしておこう。
2026年ミラノ・コルチナ五輪。
2022年は北京の冬だったから、来年の冬季五輪のトーチ
視線の先にメインの彫刻が飛び込んでくるけれど、好きなものはあと回し派。
もう少しだけ、違う彫刻を追い掛けよう。
『UNIQUE FORMS OF CONTINUITY』(UMBERTO BOCCIONI/1913)
多くの人たちは次なる部屋へと去っていく。
制限時間はないから、いつの間にか2,3人だけとなってしまったメイン展示室の大ホール。やがて、時がくれば30人の観客が流れ込んでくる。
しかし、外では何千人と並んでいるというのに、7分に一度、30人だけの開放。
入館さえしてしまえば、もう天国のようなパビリオン。
そろそろ本邦初公開の貴重品。
『FARNESE ATLAS』(2nd c.A.D.)
ファルネーゼのアトラス。
答えを先に書くなら、イタリアのパビリオンだけ超越した存在。
正直にいえば、この場所に来られただけで「万博にきて本当に良かった」と心底感じていた。まだまだメイン料理は先だというのに。
警備員さんに、

「お尻に廻ってもいいかしら

」なんていいながら、スマホを向ける大阪のおばちゃん。珍しくヒョウ柄でも紫色でもない大阪のおばちゃんを見た。
チケットをゲットしてからも、イタリアからの大盤振る舞いのニュースが相次いでいた。
まるで、川崎から神がやってくるから、最大限のおもてなしとばかり。
『THE RISEN CHRIST』(MICHELANGELO/1514-1516)
ローマ・サンタ・マリア・ソプラ・ミネルヴァ教会
やがてローマを旅したとしても、訪ねていくことすら難しい村の教会。
海外に出ていくことが極めて稀と吉村知事が言ったとか言ってないとか。
いずれにしても、なぜ、これほどまでの貴重品がここにある。
ワンサイクル30人のみの入館規制は、この作品のためであり、そして3時間にも及ぶ待ち時間を創り出す。
『The Entombment of Christ』(Michelangelo Merisi da Caravaggio/1602-04)
この部屋はバチカン(Holy See)という理解が正しいらしい。
なるほど、イタリア館に予約なしで入るには根競べが重要ということか。
もはや上質な美術館。
この作品の収蔵はバチカン美術館だから、やがて行くことになるだろうけれど、夢洲で観ることができるとは夢のような時間。
美術館ではない故、学芸員がいない。
鑑賞客は掲示してあるパネルのキャプションを読みながら、作品の質を知る。

「ほら、これがミケランジェロよ」

「ミケランジェロ…ふ〜ん」
万博に来る目的が絵画を観ることではなく、なんとなくの人たちは、この作品をミケランジェロと理解して、「確かニュースでやっていた貴重な作品」と理解して去っていく。
間違ってはいない。というよりも、合っている。
キャプションには作家名としてミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジオと書かれているのだから、それを読んだ90%の人たちは、この作品をミケランジェロとして疑わない。そのあとに出てくるカラヴァッジョが何者かも知る由もない。
なんだか悔しい。
小学生の女の子でさえ、お母さんから「ミケランジェロよ」と教えられて、記憶を脳裏に刻んでいる。
違う。この部屋では何かが違う。教えてあげたいのに、そもそもカラヴァッジョを知らない人たちが次々とやってくるのだから。
『Codex Atlanticus』(Loenardo ga Vinci)
ヴィンチのレオナルドさんが書いた1119枚の設計図のうち2枚。
コードナンバーはCA29rとCA1090v
日本にはあと2枚がやってきていて、貴重品につき3か月しか展示できないルールゆえ、7月13日に入れ替わる。
もしかして、入れ替わったあとの2枚も見に来るだろうか。
スタッフのおばちゃんが、声を枯らして叫んでいた。

「この作品は現代アートです。ゆっくりメッセージを残したい人以外は、次にお進みください。現代アートなので、興味のない方は次の部屋へどうぞ…」
こんな調子(笑)
興味があるので作家さんとも会話を交わす。
イタリア語を知らないので、英語で「これはあなたの作品か」と尋ねてやった。
YESに決まっている。さっきから、声を枯らしたスタッフおばさんが、そう言っているではないか。聞いてやれよ、おばさんの注意事項。
ラストチャプターを出ていくと、階段が産まれて上へと向かう。
これまで5分から30分ほどで退出を繰り返していた各国パビリオン。
イタリア館の滞在はついに1時間を超えた。
屋上庭園にも余すことなく現代アートの名品を見つけることができた。
スタッフさんは知識なし。自分自身で調べるのも、また愉しみ哉。
そして、屋上から大リングに目を移すと、その向こう側にはマジックアワーが背景を彩っていた。
この場所、この時間でなければ撮ることのできなかった絶景絶彩色。
なにもかもが完璧だった。
ここで素直に言葉が産まれてきた。
「吉村知事、ありがとう」
VIVA! ITALY
(つづく)

万博に「1万円パフェ」限定登場へ 宝石のような華やかさ
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