映画日記『古の王子と３つの花』

青春１８きっぷを使って敦賀へ行こうとおもったら、寝坊してしまった。
それならばと、見たい写真集を所蔵している尾張旭市の図書館へ行くことにした。
ところが、不発弾の処理のため、名古屋から尾張旭市を結ぶ名鉄瀬戸線が運休だという。
もう、ガックリ。さきほどニュースを見たら、太平洋戦争中に米軍が落としたものらしい。
気分直しに、ふだんは見ることのないアニメ映画を見ることにした。

２０２３年７月３０日（日）

『古の王子と３つの花』（２０２３年）
監督：ミッシェル・オスロ
伏見・ミリオン座

古代エジプト、中世フランス、１８世紀のオスマン・トルコ帝国、時と場所をこえた3つの物語。
いずれも不運に見舞われた王子さまが、知恵と勇気をもって苦難に立ち向かい、美しい王女さまと結ばれるというストーリー。
そんな、文字通りのおとぎ話を極彩色と簡略化されたアニメの動きで描いていく。
とにかく、手工芸品のような美しさ。
いっぽう、前作の『ディリリとパリの時間旅行』（２０１９）にあった、第三世界や女性への差別に対する批判みたいなものは、まったくない。
そこにあるのは、王子と王女が争いを避けるために知恵を絞り、自らの手でハッピーエンドを掴み取るというお話。
そんな他愛ないお話こそが、いまの世界への批判なのかもしれない。

見終わってロビーに出たら、ものすごい数の若い人たちが集まっていた。
外に出ると、ミリオン座の看板にスマホを向けている人がいる。
どうも、多くが県外から来ているみたいだ。
何の騒ぎかと、近くにいたアンチャンに尋ねたら、「○×△※の□◎◇☆のイベント上映ですよ！！」と、快活に答えてくれたのだが、なんのことやらさっぱり分からなかった。
帰宅してネットを検索したら・・・・

“名古屋の企業・団体・観光施設が「アイドルマスター ミリオンライブ！」とコラボレーション！！”

というのが出てきた。
どうも「アイドルマスター」というゲームのファンたちを、宿泊プランなどをもうけて、名古屋市が街をあげて呼び込んでいるみたいだ。
ミリオン座では、『でらます』という「アイドルマスター」関連の作品を上映していた。
そのこと自体に文句はない。
しかし、参加企業や団体の中に、青柳ういろうや名鉄観光サービスや名古屋観光コンベンションビューロー、名古屋市交通局等と並んで、防衛省 自衛隊愛知地本 自衛隊広報ＲＯＯＭの名前があったのには、どうも腑に落ちない。

爺さんのぼやきになるが、きょう一日のうちに、戦争の忘れ物に振り回され、争いを避ける若者たちのアニメを見たあとでは、なんとも複雑な気持ちだった。