本●「鉄道の旅」　東日本編・西日本編

本●「鉄道の旅」　東日本編・西日本編
真島満秀・著＆撮影

昨夜から今夕にかけて、２冊読了。

読了といっても、鉄道写真集なので眺めるだけで、読むところは少ない。
北は稚内の宗谷本線から南は枕崎の指宿枕崎線まで、ＪＲ線の旅情をいざうよう
な路線を、東と西に分冊したもの。
奥付には２００８年４月初版とある。
１０年ひと昔というくらいだから、１５年前といえば十二分に昔だ。
本書に登場する、かつて岩手県内を走っていた岩泉（いわいずみ）線は姿を消し、北海道の日高本線もその大半が廃線になってしまった。
線路は残っているが、信越本線や北陸本線のように新幹線の開通によって第三セクターへ移行した路線もある。
風景も変わった。かつては山陰本線の白眉だった餘部（あまるべ）鉄橋はコンクリになり、いまは列車があっさりと通過していく。
わずか１５年間で、失ってしまったものは多い。
とはいえ、７〜８年前からＪＲ線全線完乗を目指してきたので、ほとんどの路線を乗り通している。見覚えのある風景にふたたび出会えて、懐かしい。
いっぽうで、もう歳なので、それらの路線をふたたび乗ることはないのかとおもうと、淋しくなってしまった。
写真集ではあるが、真島満秀の小文も載っている。
根室本線との思い出を綴った一編から抜き書きする。

“その後、話し好きなママがいる酒場を訪ねたことがある。濃い夏霧の中で見つけた店のドアーは固く閉じられ、その下に郵便物が溜まっていた”

旅というのは、とりわけひとりで出かける鉄道旅というのは、いつもセンチメンタル・ジャーニーなのかもしれない。