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2023年07月05日20:46

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映画日記『雨にぬれた舗道』

2023年7月5日(水)

『雨にぬれた舗道』(1969年)
監督:ロバート・アルトマン
今池・名古屋シネマテーク

ロバート・アルトマン監督の傑作選からの2本目。

冷たい雨が降る続くある日、父母の遺産のおかげか30代になっても裕福な暮らしをしている独身女性フランセスが、公園のベンチでずぶ濡れになっていた青年を自宅に招き入れる。
ところがこの青年、妙なことにひとこともしゃべらない。
無口な青年にかわって、フランセスは彼にむかって饒舌に語りかけ、食べものを与え、風呂に入れ、着がえを用意する。
これまでの孤独だったフランセスの世界に、年下の青年が小さな明りを点してくれた。
しかし・・・・

おととい見た『イメージズ』(1972)も陰鬱な映画だったが、陰鬱さではこちらも負けていない。
冒頭の雨のシーンから、気分が滅入ってくる。
高校生の頃、初めて見たロバート・アルトマン監督の映画が、ご多分にもれず『M★A★S★H マッシュ』(1970)だった。
なんとも能天気な戦争コメディに、ロバート・アルトマンという監督は、明るい映画を撮る人だとおもってら、こういう陰鬱な映画も撮ってたのかと、ちょっとした驚きだ。
『イメージズ』同様、性的な強迫観念に取り憑かれた女性の話といってしまえばそれまでだが、強迫観念以上に、ヒロインの孤独感がなんとも痛ましい。
ありあまる金があっても孤独な人間は、孤独だ。
三十路になり、すり寄ってくるのは加齢臭のする爺さんひとりでは、やりきれない。
30女を演じたサンディ・デニスが素晴らしい。

サンディ・デニスの名を知ったのは中学生の頃。
当時読んでいた映画雑誌「スクリーン」で、『女狐』(1967)という、タイトルからしていかがわしそうな映画を知った。
その『女狐』に主演していたのがサンディ・デニスだった。
『女狐』という映画、紹介記事にはそれとなくレズビアンだったり女性の“ひとり寝の子守唄”みたいなきわどいシーンが出てくるとあり、もう見たくてしかたなかったが、中坊の願いはとうとう叶わなかった。ひょっとしたら「18禁」だったかもしれない。
それからしばらくは、女狐、サンディ・デニス、エッチな女優さん、女狐・サンディ・デニス・エッチな女優さんと頭の中をぐるぐるしてた。
それは小学生の頃、町中に立てられた映画館の看板をじっと見つめながら、赤い天使・若尾文子・エッチな女優さんと思い描いていたのと同じだ。
ということで、映画のことより動きしゃべるサンディ・デニスを初めて見ることができ、感無量だった。

帰宅して、この日記を書くため、いつもようにネットをカチャカチャしてたら、思いがけないことが出てきた。
それは『女狐』の監督がマーク・ライデルだったこと。
マーク・ライデルといえば、キャサリン・ヘプバーンとヘンリー・フォンダにジェーン・フォンダが共演した『黄昏』(1981)で有名だ。
そのマーク・ライデル、元は俳優出身ということで監督だけではなく、ときどき映画出演もしていたという。
その1本がロバート・アルトマン監督の『ロング・グッドバイ』(1973)だ。
アルトマン監督をはさんでサンディ・デニスとマーク・ライデルがつながる。
その『ロング・グッドバイ』、明日の朝一番で上映される。
これはもう、見に行くしかない。



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