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2022年07月25日20:55

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映画日記『ラルジャン』

2022年7月25日(月)

『ラルジャン』(1986年)
監督:ロベール・ブレッソン
シネフィルWOWOW【録画】

お金持ちのぼんぼんが、友人といっしょに高額な偽札を1枚使ってしまった。
めぐりめぐって、その偽札を掴まされた妻子ある青年が逮捕されてしまう。
警察も裁判所も貧しい青年のことなど眼中になく、彼は収監されてしまう。
幼い娘が急逝し、妻も彼から離れていった。
かつては妻と娘をこよなく愛していた誠実な青年は、次々と残酷な強盗殺人を重ねる冷血漢へと変貌することになり・・・・

『スリ』や『バルタザールどこへ行く』や『白夜』等々、いずれも良い映画だとおもうが、熱狂することはなかった。
カタルシスを一切拒否し、整然とした撮り方や語り口のロベール・ブレッソンとはどうも相性が悪い。
ところが、『ラルジャン』に関しては同じような撮り方をしてるのに、最後まで見入ってしまった。
ひとりの誠実な人間が、たび重なる不条理の中で、しだいにダークサイドに堕ちていく様をいわば寓話として描いてた。
寓話ではあるがあくまでも描き方はとことんリアリズム。
ところが、リアリズムなのに、画面の中の色づかいには緻密に計算された痕跡がある。
とっぴな比較になるが、小津安二郎のカラー作品に通じるような感じがした。
ということで、ロベール・ブレッソンの映画を見て、初めて感心した。
そして、小さな悪をそのまま放置しておくと、めぐりめぐって、とんでもないことになるというのは、決して絵空事ではないことを、最近見たばっかりだった。



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