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2022年06月16日00:02

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映画日記『鏡の中にある如く』

2022年6月15日(水)

『鏡の中にある如く』(1964年)
監督:イングマール・ベルイマン
今池・名古屋シネマテーク

離れ小島の別荘で、高名な小説家ダビッドは17歳の息子ミーヌス、すでに嫁いだ娘のカーリンとその夫で医者のマッティンとともに、休暇を過ごしていた。
海遊びを楽しむ四人は何不自由なく幸せそうだ。
しかし、それぞれが他人に言えない悩みを抱えていた。
とりわけ娘のカーリンは心の病で入院していたばかり、医者でもあるマッティンは義父のダビッドに「妻の病は完治していない。いつか再発するかもしれない」と告げる。
17歳のミーヌスは、はけ口のない性欲に身をよじり、それ以上に父親とまともな会話を交わせないことに絶望していた。
そしてある日、カーリンは父親の日記をこっそりと読んでしまった。
そこに書かれた内容に、カーリンの心はもろくも壊れてしまい・・・・

未見のベルイマン作品とおもっていたら、「もうすぐ神があらわれる」と、妄想を言葉にするカーリンとその家族の前に、しだいに高鳴る轟音の中から降臨する「神」の姿に、あれっ?!、この映画、見てたわ!!となった。
帰宅して、エクセルで記録している映画の観賞リストで確認したら、4年前の2018年10月にやっぱり見ていた。
ただし、見た作品には5段階評価を印しているのだが、その欄が「?」になっていた。
「?」というのは、理解できなかったという意味でなく「寝てしまった」ということ。
どうもベルイマン監督の特集上映だったみたいで、この日は『鏡の中にある如く』だけでなく『冬の光』(1975)と『沈黙』を合わせて、1日に3本のベルイマン映画を見ていた。今からおもえば暴挙としか言いようがない。
その結果『冬の光』も「?」だった。『沈黙』になってようやく持ち直したみたい。

閑話休題。
ということで、何も覚えていないはずの『鏡の中にある如く』だったが、「神」降臨のシーンだけは、強烈な印象だったのだろう、はっきりと記憶していた。
ベルイマン映画といえば私にはどうしても理屈っぽい感じがする。
それでも、寝ちゃうリスクを負いながらも、上映されてればいそいそと出かけるのは、こういう鮮烈な映像との出会いがあるからだ。
町山智浩によると、ベルイマン映画は『ファイトクラブ』や『エクソシスト』や『ポルターガイスト』等々、多くの映画に影響を与えているという。
そういえば、本作の「神」降臨シーンも、そっくりなシーンをときどき見かけるが、きっと本作が元ネタだろう。
その、そっくりシーンが出てくるほとんどがアクション映画だ。
ベルイマン映画と、アクション映画や『エクソシスト』に『ポルターガイスト』といったホラー映画との相性の良さに、なんだかうれしくなる。

神はいるのか、いないのか、といった宗教的、哲学的な問いかけには、まったくお手上げでよく分らない。
まったく救いのない映画だが、ラストにちょっとした「奇跡」が起きる。
3日間連続して1960年代のベルイマン監督作品を見てきたが、初めてホッとした一瞬だった。


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