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2022年01月21日23:16

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映画日記『さがす』

2022年1月21日(金)

『さがす』(2022年)
監督:片山慎三
今池・名古屋シネマテーク

大阪新世界の出入り口にあたるJR新今宮駅や、地下鉄動物園前の近くに住む貧しい父子家庭の親子が主人公。
ふらふらしてる頼りない父親(佐藤二朗)が、「300万円の賞金がかかった連続殺人犯を街で見かけた」という言葉を残して、中学生の娘(伊東蒼)の前から忽然と消えてしまった。
必死で父親を探す娘が、かすかな手がかりから出向いた作業現場で父親の名を呼ぶと、見知らぬ青年がふり向いた。
人違いと落胆する娘だったが、ネットの手配写真から、その青年こそが連続殺人犯(清水尋也)であることを知る・・・・

途中までは失踪した父親捜しのミステリー映画だったが、中盤でがらりと様相が一変し、まったく想定外の結末になる。
クレジットを見ると、原作なしのオリジナルシナリオだった。
まずはオリジナルであることに拍手を送りたい。
実際にあったいくつかの事件を下敷きにして、生と死の価値観がぐらぐらと揺らいでしまった今を照射する。
見る者を不安にさせる終盤と、長い長いラストシーンが印象に残った。
本日封切りにつき、下手なことは書けないので、ここまで。

見どころは出演者たち。いずれも良かった。
まずはヒロインの伊東蒼(いとうあおい)。
最近では、映画『空白』で万引きをし、逃走中に車に巻き込まれて死んじゃう中学生役だが、彼女のことは『湯を沸かすほどの熱い愛』(2016)から知っている。
どこか不幸そうな顔立ちが、個性的だ。
たとえば、山田杏奈は『ひらいて』と『彼女が好きなものは』を立て続けに見て、お気に入りになったのだが、彼女の出演作はその前にも何本か見ていたのに、目に入り、記憶に残ることはなかった。失礼な言い方になるが、若い女優さんが可愛さだけで、顔と名前が記憶に残るというのは、じつは至難なことなのだろう。
いっぽうの伊東蒼はたった1本で記憶に残った。
くどくどと伊東蒼のことを書いてしまったが、彼女は子役から出発した田畑智子のように、息の長い女優さんになりそうな気がする。
ということで、『さがす』は伊東蒼にとって、10代の代表作となった。
次は、殺人鬼役の清水尋也(ひろや)。二枚目なのに、薄気味悪さがサイコー。
この人も山田杏奈同様、何本か見てるが、本作で顔と名前をしっかり覚えた。
続いて老優・品川徹の怪演に大笑い。まじめな役しかしない人かとおもっていたら、ドヤ顔で自慢のコレクションを開陳するシーンが絶品!!
最後に佐藤二朗。
じつは佐藤二朗は大の苦手、彼の何がおもしろいのかさっぱり分らない。
へんなしゃべり方はなんとかして欲しいと常々おもっていた。
ところが、本作の佐藤二朗は、おちゃらけなしで、ちゃんとセリフを喋っている。
初めて見直した。

飛田東映があったころに、何度か入ったことのある動物園前の喫茶店が映っていたのと、今どき珍しいローアングルのシーンが出てきて、ちょっと驚いた。



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