映画日記『彼女が好きなものは』

２０２２年１月１９日（水）

『彼女が好きなものは』（２０２１年）
監督：草野翔吾
刈谷市・刈谷日劇

旧友のマイミクさんからおすすめの1本。

ボーイズラブ命の腐女子高校生が愛した同級生、じつは彼はゲイだった・・・・

冒頭に「ソーシャルディスタンス」のポスターが出てくるのに、舞台となる高校では誰もマスクをしていないのに、首をかしげてしまう。
私がトンチンカンなのかもしれないが、こういうディテールの齟齬がどうしても気になってしまう。
その後も、コロナ禍がストーリーに絡むことなどひとつもなかったのだから、「ソーシャルディスタンス」のポスターが何を意図してたのか、見終わった今も不思議でならない。
出だしでつまずいてしまったことと、始まって3分の２ぐらいまで、いわゆる学園青春ラブストーリーの変化球みたいなのりで、まったく合わなかった。
ということで、今日は外したかなあ、とおもっていたら、山田杏奈演じる腐女子ヒロインの大演説が始まる。
最近は、3日前どころか３０分前のことすら忘れてしまうので、まったくのうろ覚えになるが、「ゲイの人たちが、ゲイであることを隠すのは彼自身を守るためではない。それは私たちを守るためだ。私たちがゲイの人たちと対面したときに、動揺したり気まずいおもいをさせないためだ」みたいなセリフを山田杏奈が熱く語る。
これまで、思ってもみなかった主張だった。
私には、彼女の主張が妥当か否かを判断するだけの知恵も知識もない。
しかし、私より幾世代も若い作り手や演者が紡ぎ出した言葉に、何かしら感じるものがあった。

ヒロインを演じた山田杏奈がいい。
この前見た『ひらいて』で、山田杏奈は好きな男子を巡って空回りするうちに、恋敵の同級生とレズになってしまうという女子高生役だった。
『ひらいて』に続き本作と、複雑で面倒くさい女子高生を好演。
佐久間由衣や河合美優に続き、次回作が待ち遠しい女優さんが、またひとり増えた。