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2022年01月10日22:46

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本●「ガン・ストリート・ガール」

本●「ガン・ストリート・ガール」(ハヤカワ文庫)
エイドリアン・マッキンティ:著

読了。
この歳になっても、ユダヤ教とユダヤ人のことや、イスラム教のスンニー派とシーア派の違いなどがよく分からない。
同じようにアイルランド問題についても、まったくお手上げだ。
なんとなく、カトリックとプロテスタントの対立ぐらいの認識しかなかった。
さっきウィキペディアで「アイルランド問題」を検索し読みはじめたのだが、何がなんだかさっぱり分らない。
とはいえ、分らないなりに、とても根が深いことだけは分った。
その北アイルランドを舞台にしたミステリ。

「現代警察小説の最前線はこれだ!」

帯に書かれた惹句に釣られ書き出しを読むと、その文体が一人称で語られるハードボイルドだった。
警察小説+ハードボイルド、これは読まなくちゃ!

さっそく購入して本格的に読み出したら、あれ?となる。
「現代警察小説」という惹句から、当然舞台は現代だろうとおもっていたら、1980年代だった。
この時代、暗殺や爆弾闘争が頻発していたらしく、主人公の刑事が自分の車の動かす際に、必ず車体の底に爆弾が張り付いてないか確認する場面がくどいほど出てくる。
1980年代をイメージするためか、当時のロックの曲名やアーティストが次々と登場する。
音楽については詳しくないので、何とも言えないが、ひとつだけロックに混じって武満徹の名が登場したのには、へえっとなった。

ミステリとしての切れ味には欠けるが、ぐいぐい読ませるパワーは一級。
ハードボイルドらしい哀感に満ちた結末もグッとくる。
さらに、著者のあとがきによると、1980年代に起きた歴史的事実を下敷きにしているという。かなり凝ったつくりのミステリみたいだ。

よくは分らない「アイルランド問題」だが、たとえばデヴィッド・リーン監督『ライアンの娘』や、ニール・ジョーダン監督『クライング・ゲーム』はアイルランド問題が背景になっていた。
未見のジム・シェリダン監督『父の祈りを』やケン・ローチ監督『麦の穂をゆらす風』、古くはキャロル・リード監督『邪魔者は殺せ』もそうだった。
そして、3月にはケネス・ブラナー監督作品『ベルファスト』が封切りになる。
原作でも関連書でもないが、「ガン・ストリート・ガール」を読み終え、『ベルファスト』の公開が待ち遠しくなった。



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