2021年11月21日(日)
『ほんとうのピノッキオ』(2021年)
監督:マッテオ・ガローネ
伏見・ミリオン座
ジェペット爺さんが木で作った人形の男の子・ピノッキオが、色々あって、最後に人間の男の子になるというお話。
大筋はなんとなく知っていたが、「色々あって」のところがまったく知らなかった。
なるほど、こういう話だったのか。
多彩な登場人物に、猫や狐やコオロギやカタツムリやマグロといった擬人化された動物たちがユニーク。
とくにカタツムリおばさんの、美しくてユーモラスな造型と、演じた女優さんの包容力もあって、個人的にはお気に入りのキャラクターだ。
嘘をついてはいけません。親を大切にしなさい。怠けてはいけません。ちゃんと学校へ行って勉強しなさい。
と、子どもに説くような話だが、どういうわけか見てるうちに、とても切ない気分になってくる。
ひとつは哀愁を帯びた主題曲のためであり、ひとつはピノッキオと同じ歳ぐらいの少女だった妖精が突然、大人の妖精になってしまったこと。
大人になった妖精が、まだ子どものままのピノッキオの母親のようであり、お姉さんのようであり、また恋人のようであるのが、なんとも奇妙な感じ。
そして、ジェペット爺さんを演じたロベルト・ベニーニが、しみじみとした哀れさをかもし出していた。
どう見ても大人向けの一編だった。
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