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2021年11月08日22:15

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映画日記『奈落の翅』感想編

2021年11月7日(日)

『奈落の翅』(2021年)
監督:小林勇貴
駅西・シネマスコーレ

暴走族映画『孤高の遠吠え』(2016年)の小林勇貴監督の最新作。
シネマスコーレで先週末の土日のみの上映。
これまで美術館とライブハウスでの上映だったので、映画館での上映はシネマスコーレが初めてとのこと。

主人公の、どうみてもブラック企業に勤めるジン(ウメモトジンギ)にとって、スケートボードに乗って真夜中のストリートを駆けることだけが、生きてる証だった。
そしていつものように独りで路上を走っていたジンに、声を掛けるグループがあらわれる。
グループのリーダー・池田(池田幸太)のテクニックに心酔したジンは、朝から晩まで、仕事そっちのけでスケートボードに熱中するのだが、しだいに彼の周囲に暗雲がたちこめてくる。
スケートボーダーたちを毛嫌いし、排除しようとする市民たちに、あきらかに自警団っぽい白服の二人組、そしてヤクザたち。
そして、ジンを待ち受けていたのは、奈落=地獄の景色だった・・・・

名付けて「スケ暴映画」!!!
スケボーに乗ったジンたちが、車のすきまを抜ってストリートを疾走していくシーンで、スゲー!!!!となる。
これまでも、そしてこれからもスケボーに乗ることはないだろうが、なるほどスケボーに乗るとふだん見馴れた街がこういう風に見えるのかと、目からうろこだった。
それだけでも見る価値がある。
そしてストーリーがすすむと、いつもの小林勇貴節になっていく。
がんじがらめの暴力の世界と、そこからの飛翔の物語だ。
暴力の果てに、スケボーに乗ったジンと池田が、パタリパタリと斃(たお)れていくシーンは本年度日本映画屈指の名場面と断言する。
そして、タイトル通り、たとえ奈落=地獄に落ちようとも、翅(はね)を持った蝶のように舞ってみせるぜ!!という心意気にグッときた。

上映後の舞台挨拶に小林監督を含め、池田幸太を含めたキャスト4人が登壇した。
帰宅してネットで検索したら、ウメモトジンギと並ぶ主演の池田幸太は、スケボー界では超有名なカリスマだった。
そして、キャストのひとりが撮影時に仮釈放中だったと語り、爆笑だった。
舞台挨拶の締めくくりの、小林監督の言葉に本音の熱を感じた。
それは、観客は観客のままでいいのか?という問いかけだったと、私はおもう。
高校生時代に熱中して読んだ、白井佳夫編集長時代の「キネマ旬報」を思い出した。

傑作。



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