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2020年11月23日23:38

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映画日記『盗命師』

2020年11月23日(月)

『盗命師』(2017年)
監督:リー・チーユエン
駅西・シネマスコーレ

<台湾巨匠傑作選2020>の3本目。

バービーというポール・ダンサーの恋人が、一匹のレース用の鳩と多額な借金を残したまま、交通事故で死んでしまった。
そんなバービーに、死者の角膜や腎臓などの臓器を闇ルートで密売すれば、すぐに大金が手に入るともちかける男がいた。
はじめは断ったバービーだが、恋人の借金を返済するには他に手がない。
臓器売買を承諾したバービーと恋人の死体のもとに、マラッカと名乗る手足背中に刺青を入れた男が現われる。
マラッカは無免許の外科医らしいが、メスを持つ手は、神の手だった。
そんな謎めいたマラッカに、バービーは引かれていき、一夜をともにする・・・・

チラシに「臓器売買と鳩レースをめぐる人間模様」とある。
なんじゃ、そりゃ????
妙ちきりんな映画だったら、怒るぞ!!
とおもって見始めたら、たしかに「臓器売買と鳩レースをめぐる人間模様」としかいいようのない物語、ただし意表をつく展開が連続し、ぐいぐいと画面に引き込まれていく。
鳩レースを利用して裏で賭博をしているヤクザの親分とその妹、執念深くマラッカを追う定年間近の刑事、そしてガソリンスタンドで叱られてばかりいる少女と、映画の序盤ではぼんやりとしか描かれていなかった脇役たち一人ひとりが、終盤に近づきしだいに輪郭がはっきりとしてくるにつれ、いとおしくなってくる。
昨日の『血観音』と同じように、見事なストーリー作りだ。
臓器売買というダークでミステリアスな雰囲気から始まった映画が、ラストはなんと『幸福の黄色いハンカチ』で終わるのだ。
ストーリーだけでなく、何万羽という鳩が一斉に飛び立つ鳩レースのシーンと、ロングで撮った田園風景のみずみずしい美しさも特筆もの。
役者の中では、滋味あふれるヤクザの親分を演じたシー・シャンという中年の男優さんがすばらしい。
そのシー・シャン扮する親分が、子分たちにコンビニで売ってるフランクフルトをおごってあげるシーンがあった。
子分たちは親分からの突然の差し入れに感謝はしたものの、じつはこのときスイカを食べていた。食い合わせが悪いので、親分が去ったあと、困った顔をしてたのがおかしかった。
スイカといえば、あるシーンでもういちどスイカが出てくるが、日本人ならおもわずニッコリするはずだ。



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