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2020年11月21日23:57

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映画日記『停車』

2020年11月21日(土)

『停車』(2008年)
監督:チョン・モンホン
駅西・シネマスコーレ

シネマスコーレで今日から始まった<台湾巨匠傑作選2020>の1本。

きっと奥さんにたのまれたのだろう、ケーキを買いに路上に車を止めてしまった男のお話。
ケーキを買って戻ってみると、二重駐車で車を出すことができない。
このままでは奥さんとの約束の時間に間に合わない。
そばの理髪店で店主に車の持ち主を尋ねると、この建物の3階に住んでいる人の車だという。
男が3階の部屋のドアを叩く。
中から顔を出した爺さんが、「おお、母さんや、○×○×(名前を忘れた)が帰ってきたぞ!!」と歓喜の声をあげ、きょとんとしてる6歳ぐらいのめちゃめちゃ可愛い女の子に「ほら、お父さんだよ」と教えた。
やがて、奥からはよぼよぼと目の不自由な婆さんがあらわれる。
男の顔を両手でそっとなぞると「ちょっとやせたねえ」と言って、すぐに料理の準備を始めた。
どうも、長きにわたって家をあけたままになっている息子と勘違いされたみたいだ。
事情に感づいた男は、息子のふりをして、婆さんの手料理を爺さんや女の子と一緒に食べるのだったが・・・・

という、しみじみとした人情話になるのかとおもったら、これは映画の発端でしかなかった。
この先、大陸からやって来たデリヘル嬢と彼女に群がる男たち、借金でやくざから追われている仕立て屋の男、さらには理髪店の店主の過去や、男と奥さんが抱え込んだ悩みなどがあきらかになっていく。
錯綜したエピソードを、ひとりの男に降りかかったひと晩の災難として、テキパキと描ききる。
洗面所のデカい魚のお頭や、天井を這うゲジゲジといった、不思議な映像が印象的。
なんやかやがあって、なんとなくハッピーエンドになりそうなところで、映画が終わった。
いずれも大傑作だったチュン・ユーシュン監督の『熱帯魚』や『ラブゴーゴー』に連なるような愛すべき1本。
男の奥さんを、大好きなグイ・ルンメイが演じていたのも、得した気分だ。

台湾の巨匠と言われても、恥ずかしながら本日のチャン・モンホンを含め、知らない監督ばかり。
上映される9作品を全部見たいのだが、ジャン=ポール・ベルモンド特集に、市川雷蔵特集と、見たい旧作映画がめじろ押しだ。
師走を前に、急に忙しくなってきた。


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