■鉄道旅行記 6
JR線全線完乗の旅で、山陽・山陰の未乗区間を回ってきた。
●3日目 3月12日(木)
この日の午前中が、今回のJR線完乗旅行のハイライトだ。
目的地のひとつ、長門本山駅で撮った時刻案内を見ればその理由がすぐに分かる。
朝夕に3本しか発着しない。先月乗った鶴見線より少ない。
まずは早起きできるかが、カギとなるが、5時に起きることができた。
さらに、あっちへ行ったりこっちへ来たりしなければならないが、ややこしいので省略。
6:09 厚狭発
小野田、雀田の各駅で乗り換える。
7:30 長門本山着
列車から降りたら、乗ろうとしてた女子高生がギョッという顔をしていた。
ふだん、誰も降りてこないというか、誰も乗っていない列車から、偏屈そうなジジイが現われたのだから、驚くのも無理はない。
折り返しに乗り、再び雀田から乗り換えをくり返し、厚狭駅に戻った。
10:14 厚狭着
小野田線と枝線の雀田〜長門本山間、および宇部線完乗。
続いて厚狭から未乗の美祢線に乗る。
長門市で昼食をとったのち終点の仙崎へ。
12:45 仙崎着
仙崎のさきに、青海島がある。
青海島の北側の海岸線には奇岩が立ち並び、その偉容は「海上のアルプス」と呼ばれている・・・らしい。
なにしろ、見たことがないので、なんとも言えない。
青海島一周の観光船が出てるので、さっそく船着き場へ行ってみた。
この日は天気はピーカンで、波も穏やかだった。
ところが、うねりが強いため、一周コースではなく、4分の1周くらいのコースになるという。
ご多分にもれず、青海島もコロナのせいで観光客がいない。
ひとりふたりのために、一周コースなんかしてたら燃料費がもったいないと、手抜きをしてるのではないかと疑念が浮かんだ。
そのうち、7〜8人の乗客が集まり、船が出航した。
船はおだやかな水面をすいすいと進んで行く。
どこに強いうねりがあるんだ?
とおもっているうちに、船が上下に揺れだした。
波の上に持ち上がった船体が、わずかな間をおいて海面にたたきつけられる。そのたびに白い波しぶきがあがり、視界がさえぎられた。
正直、びびった。
きっと船長や船員さんたちは、この荒波を乗り越えて、島を一周するだけの技量は持っているとおもう。
問題は乗客だ。
このまま突き進み、海上のアルプスにたどり着くころには、船の客室が飛び散るゲ●で、阿鼻叫喚の光景になっているにちがいない。
帰路で娘さんがひとりグッタリしてたし、私も一度だけ「ウッ」となった。
ビビりはしたが、ちょっとした冒険で楽しかった。
船着き場のおばさんによると、冬場はうねる日が多く、夏になるとおだやかになるそうだ。
次は金子みすゞ記念館だ。
観光船がはやく終了したので、じっくりと見学ができそうだ。
金子みすゞが暮らしてたという古い本屋が記念館になっている。
その入口を写真でパチリと撮って、いざ入ろうとしたら・・・・
もう、ガックリ。
すごすごと仙崎駅に戻ってはみたものの、やることがない。
列車の出発までに、まだ1時間半もある。
しかし、この日は晴れてあたたかい。
誰もいないホームの、陽の当たるベンチに座り、旅行ために持参した新書本のページを、初めてひらいた。
●4日目 3月13日(金)
最終日。
広島で未乗の可部線を乗り終えたら、すぐに名古屋へ帰る予定だった。
ところが電車が宮島口を過ぎたとき、頭の中で「宮島航路」に乗らなくていいのか?と疑問が浮かんだ。
広島駅から可部線に乗ったのだが、「宮島航路」のことが気になってしまい、車窓風景を眺めていても上の空だった。
といっても、まるで私鉄の郊外線みたいな風景が続くだけで、さほど面白くない。
広島駅に戻り、いつも利用している「乗りつぶしオンライン」を開くと、「宮島航路」は全線完乗の対象とはなっていなかった。
ただし宮島航路はJRが運営している
たしかに鉄路ではないが、自分の中では「宮島航路」に乗っておきたい。
宮島には数年前に訪れたことがあったが、宮島口までは広島電鉄を利用してやって来た。その流れでいくとJRではなく民営の航路を利用しているはずだ。
乗らずに帰れば、悔いを残しそうだ。
ということで、宮島口まで引き返し、JRの宮島航路に乗船することにした。
宮島に着いたら、すぐに折り返そうとおもったが、船に揺られていたら観光気分になってしまった。なにしろ雲ひとつない晴天で気持ちがいい。
結局、ひさしぶりの宮島を、のんびりと散策することになった。
ただし、厳島神社の大鳥居が工事中だったのが残念。
以上、予定していた山口線、小野田線、宇部線、美祢線、可部線と番外の宮島航路を乗り終えた。
広島駅で、名物のお好み焼きといっしょにビールで祝杯。
乗車距離が204.8キロ増え15,677.6キロに、乗車率は79.884%になった。
超えるとおもっていた80%には、わずかに届かなかった。
完乗まで、長い旅がまだまだ続く。
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