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2019年06月27日01:06

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映画日記 『初恋〜お父さん、チビがいなくなりました』 『沈丁花』 『喜劇 女は度胸』

夏風邪で映画日記が滞ってしまった。

2019年6月23日(日)

『初恋〜お父さん、チビがいなくなりました』(2019年)
監督:小林聖太郎
岐阜柳ヶ瀬・CINEX

長年連れ添った老夫婦の間に、すきま風が吹き込んだ。
せっかく仕事の第一線を退いたというのに、旅行ひとつ連れていってくれない無口な夫に、とうとう妻は離婚を決意した。
そして、その自分の心中を、たまたま実家に立ち寄った次女に漏らしてしまった。
母親の思いがけない告白にとまどう次女。
そんな矢先、夫婦が飼っていた老猫の「チビ」が行方不明になり・・・・

基本的に、奇天烈でささくれ立った映画が好きなのだが、まともな映画もたまにはいい。
ちょっとした波乱がありながらも、落ち着くところにちゃんと落ち着つき、さらには新しい恋の予感と、小品ながら最初から最後まですっと見ることができた。
あの上岡龍太郎の息子が撮ったとはおもえない。
松竹の倍賞千恵子と日活の藤竜也が夫婦役をするなんて、昔だったら考えられないキャスティングも妙。
さらに東宝の星由里子も出てきた。
モノクロで撮られて牛乳スタンドの回想シーンが見事だった。
次女役の市川実日子がいいね。


『沈丁花』(1966年)
監督:千葉泰樹
岐阜柳ヶ瀬・ロイヤル劇場

大映女優の京マチ子が、東宝に客演した女性映画。
京マチ子は急死した父の跡を継ぎ、歯科の開業医をしながら一家を支えてきた。
長女の京マチ子を看護婦として次女の司葉子がサポートする。
三女の団令子はすでに妻となって幼子の母親だ。
四女の星由里子はまもなく結婚。
母親の杉村春子は、婚期を逃しそうな司葉子と、婚期を逃してしまった京マチ子が不憫でならない。
ところが、司葉子にも相思相愛の男性があらわれた。
はたして、長女の京マチ子に春はやってくるのだろうか・・・・

京マチ子を中心に、東宝のトップ女優三人に杉村春子を配した万全の布陣でのぞんだ女性映画。
長女の婿探しというと、ジェイン・オースティンの『いつか晴れた日に』を思いだしてしまうが、それ以上に東宝版の小津映画といったおもむき。
こちらも、落ち着くところにちゃんと落ち着つく映画で、最後まで楽しめた。
『初恋〜お父さん、チビがいなくなりました』もそうだが、ひとことで言うと“無理をしてない映画”だ。

見どころは京マチ子の眉毛。
映画評論家の北村匡平が言っていたが、京マチ子は役によってミリ単位で眉を変えるのだそうだ。本作を見て、まったくその通りとおもった。
大映作品では見たことのないような、まろやかな顔立ちになっていたのに驚いた。

もうひとつ、星由里子の花嫁姿。
ほんとうにびっくりするくらい綺麗だった。


『喜劇 女は度胸』(1969年)
監督:森崎東
名駅・ミッドランドスクエアシネマ

昔、テレビで見て感心した1本。
森崎東の監督デビュー作にして、倍賞美津子の第一回主演作でもある。
前の二作とはがらりと変わって、奇天烈でささくれ立った映画だ。

羽田空港近くに、飲んだくれのオヤジ・泰三(花沢徳衛)と暴力的でチャランポランなダンプの運転手の長男・勉吉(渥美清)、工員をしている気弱な次男・学(河原崎健三)、そしてそんなバカ男三人の面倒をこれまで黙ってみてきたオッカサンのツネ(清川虹子)の貧乏な四人家族が住んでいた。
ひょんなことから次男が女工の愛子(倍賞美津子)と恋仲になる。
ところが、愛子の職場の同僚で、隠れてコールガールをしている笑子(沖山秀子)と長男ができてしまった。
ところが、ゲーテの詩集が原因で、学は愛子がコールガールをしていると誤解してしまう。
コールガール騒ぎに泰三までもが乗り込んできて・・・・

少々下品なドタバタ喜劇の中に、ちくりと昭和天皇と天皇制への皮肉まで込めてしまう。
傑作!!


この日は同じ日に、倍賞千恵子の最新作と、50年前の実妹である倍賞美津子の第一回主演作を見た。
さらには星由里子の遺作と、彼女が女優としての絶頂期を見ることになった。
偶然とはいえ、なんとも感慨深い一日だった。


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