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2019年06月09日00:49

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映画日記 『人生劇場』 『愛がなんだ』

2019年6月8日(土)

『人生劇場』(1983年)
監督:深作欣二、 佐藤純彌、 中島貞夫
岐阜柳ヶ瀬・ロイヤル劇場

知らなかった。こんな『人生劇場』があったんだ?!
東映のエース監督3人が共同で演出を担当したということらしい。
どのパートを誰が担当したのかまったく分からなかった。
まあ、松坂慶子の濡れ場シーンは深作欣二なのだろう。

『人生劇場』といえば、真っ先に加藤泰監督の『人生劇場 青春・愛欲・残侠篇』(1972年)が思い浮かぶ。
これはリアルタイムで見ている。
田宮二郎の吉良常、高橋英樹の飛車角、渡哲也の宮川が殴り込みをかけるシーンで、待ってましたとばかりに美空ひばりが歌う「人生劇場」が流れる。
しびれたなあ。
とはいっても、後年になって知ったのだが、吉良常と飛車角と宮川がいっしょに殴り込みをかけるのは加藤泰版『人生劇場』のオリジナルのようだ。

次は内田吐夢監督の『人生劇場 飛車角と吉良常』だ。
記憶違いでなければ、数年前に閉館となった浅草名画座で見た。
名調子と面白さといった、大衆娯楽の粋を集めたような加藤泰版『人生劇場』とはことなり、内田吐夢版の『人生劇場』は、ひとことで言うと格調高く折り目正しい一編だった。

さらに、東映任侠映画のはしりと言われる沢島忠監督版『人生劇場 飛車角』(1963年)を、少し前にテレビで見ることができた。
鶴田浩二の飛車角と、佐久間良子のおとよの情話と、ふたりの愁嘆場にグッときた。
運命のいたずらで、おとよを巡って飛車角と三角関係になる宮川を演じたのが高倉健だった。
愛した女と渡世の義理の板挟みに、高倉健が大声をあげて泣きじゃくる。
こんなに大泣きする高倉健を見たのは最初で最後だ。

かつて見た3本の『人生劇場』に本作が加わることになった。
4本見た『人生劇場』で共通するのは、官憲に追われた飛車角と、しばし彼をかくまう吉良常との出会いのシーンが、いずれも名場面であったこと。
内田吐夢版は飛車角が鶴田浩二、吉良常は辰巳柳太郎だった。
沢島忠版の吉良常は月形龍之介だ。
本日見た『人生劇場』は、飛車角が松方弘樹で吉良常は若山富三郎だった。
当時54歳、初老にさしかかり、頬の肉が少しそげ落ちた若山富三郎がすばらしい。

永島敏行扮する青成瓢吉の恋人、お袖役の松坂慶子もすばらしかった。
本作をはじめ『事件』(1978年)や『男はつらいよ 浪花の恋の寅次郎』(1981年)、そして『蒲田行進曲』(1982年)と、1980年前後の松坂慶子は最強だ。何を見てもクラクラする。
その松坂慶子が惜しげもなく白い裸身をさらけ出す。
そんな松坂慶子の勢いに釣られてか、意外なことに飛車角と恋仲のおとよを演じた中井貴恵も脱いでいたのにはビックリ。

社会人になり、仕事が忙しくて映画から離れてしまった時期の映画だ。
ラストが尻切れとんぼだったので、映画の出来としてはいまひとつだったが、空白の時期を埋めてくれた貴重な1本だった。


『愛がなんだ』(2019年)
監督:今泉力哉
岐阜柳ヶ瀬・CINEX

ひょっとしたら、いちばん苦手な類の映画だ。
「愛がなんだ」と問われても、経験不足のため、応えるすべがない。
本作を見て感じたことは、恋愛というのは本当に面倒くさいということ。
しかし、この歳になると、その面倒くささの渦中に身を投じることがなかったことが、心残りでもある。

ヒロインを演じた岸井ゆきのが良かった。


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