初盤にもかかるお化けのような音楽、思えば山下敦弘、初期の3作はお化けのようなハナシであったし、その後の作品もお化けは唐突に、そしてファンタジックに表される。出会いのときもその後のスナックのシーンも、オダギリジョーの眼差しにあらわされる蒼井優、狂ったような情動とフェアリーを兼ね備えたなにか言霊放つ精霊あらわすの如しであった。出会いは異邦人。いつものように、そうした出会いが山下の主人公を変化させるものがある。『リアリズムの宿』のパンツにしても、『リンダ リンダ リンダ』のペ・ドゥナにしても、霊を導くような『天然コケッコー』の大沢広海にしても、そうである。日常の切り取りのようなものを表しながらも、その唐突にして泥臭さある感覚が魅力となる。オダギリジョー、『空気人形』で久しぶりに観たときは、久しぶりだからだろうか、存在感というではなく、何か雰囲気を兼ね備えた役者さんなんだと感じたが、今作は、元殺人犯で現在は慎ましく義理人情で生きてます、みたいな、不器用ですと言いながらも何故か華麗なアクションでラストは決めてしまう高倉健のような人物かという印象を出だしでもつ。が、ずっと観ていくと実は、山下敦弘らしく、フツーなんだけど怪物を持ち合わせている人物が表されている。オダギリジョーは存在感を消してしまう魅力がある。しかし、其処にずっと佇んでいるのである。蒼井優、今回は情動ほとばしる女性という新境地あらわしながらも、でも表立ってほとばしらなくても、内面がそのような人物もけっこうやってきているのかな、どちらにしても彼女らしく、仕草がいつものように自然である。『オーバー・フェンス』面白かった。
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