mixiユーザー(id:6810959)

2016年10月24日23:58

237 view

映画日記 『沓掛時次郎 遊侠一匹』 『みな殺しの霊歌』 『幕末残酷物語』

先週末は加藤泰作品を見るために大阪に遠征してきた。
この日は『阿片台地 地獄部隊突撃せよ』を皮切りに、4本見た。

2016年10月22日(土)

『沓掛時次郎 遊侠一匹』(1966年)
加藤泰:監督
大阪九条・シネ・ヌーヴォ

わずか2ヶ月前に大阪・新世界の日劇東映で見ている。
パスして喫茶店で時間を潰そうかとも思ったが、2時間近くぼんやりするのもアホらしいので、見ることにした。
しかし、いくら名作とはいえ、立て続けに見れば、飽きもするだろう。
ところが、今回もまた、最初から最後まで前のめりでスクリーンを見ることになった。
高崎宿で、時次郎と酒場の女将がしみじみと会話を交わす名場面の直前に、ちらちらと紙の雪が降るシーンがある。
今回の遠征に携行していった、「加藤泰映画華」という本によると、この雪はもともと芝居で使われる三角に切った紙なのだそうだ。四角でなく三角にするとチラチラと舞うようにして落ちていくという。
今回、目を凝らして見たら、たしかに紙の雪が三角だった。

この前見た『七人の侍』もそうだが、良い映画というのは見るたびに発見がある。
見る回数が2回、3回と増すごとに、まるで浮世絵の摺りのように、その映画の細部が浮き上がり、色合いのあざやかさが増していくのだろう。


『みな殺しの霊歌』(1968年)
加藤泰:監督
大阪九条・シネ・ヌーヴォ

こちらも学生時代に見ている。
『沓掛時次郎 遊侠一匹』や次に見た『幕末残酷物語』や、今回再見できなかった『真田風雲録』などといっしょに、オールナイトの特集上映で見たと思う。
そのときは、半分ぐらい寝てしまった。
そして、今回も少し寝てしまった。
どうも、『みな殺しの霊歌』とは相性が悪い。

5人の有閑マダムたちに犯されたクリーニング屋の青年が自殺した。
憤怒にかられた逃亡中の殺人犯が、5人の女をひとりずつ血祭りにあげていくという話。

佐藤允扮する殺人犯の怒りが、私にはいまひとつ釈然としない。
たとえば緋牡丹のお竜が悪党どもをバッタバッタとやっつけるクライマックスシーンのような快感がない。
もやもやとしたものが残るが、いま思うとそれが狙いだったのかもしれない。


『幕末残酷物語』(1964年)
加藤泰:監督
大阪九条・シネ・ヌーヴォ

先にも書いたが、大学生時代に見ている。
この日が2回目だ。
初めて見たときは、この映画の時代背景など実はよく分からずに見ていた。
私のような、地方の三流大学にようやく潜り込めた学生レベルの知識では、この映画の時代背景などを理解することは無理だ。
当時の私は、ただただ、流血シーンに大喜びしてただけだった。

その後、本を読んだり、テレビの教養番組とはいわないまでも、ふつうの娯楽時代劇などを見ることを重ねてきたおかげで、本作の舞台になる新撰組を中心とした幕末の政治的な対立構図を、おおよそ分かるぐらいにはなっていた。
やっぱり、知識は必要だ。

映画の感想よりも、そんな感慨が頭に浮かんだ。



7 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2016年10月>
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031