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2015年02月19日01:25

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映画日記 『やくざ絶唱』

中学から高校生の頃に見逃してしまい、大人になっても忘れられず、機会があれば見たいと念願する映画がある。数えると6本あった。
思春期の盛り、背伸びをして読んだ映画雑誌の紹介記事に書かれた何かが、私の琴線に触れたのだろう。
6本のうち『わが命つきるとも』(1967年 監督:フレッド・ジンネマン)と、『地の群れ』(1970年 監督:熊井啓)は、50代の半ばを過ぎて再び映画を見出したここ数年のうちに見ることができた。
残す念願は4本だ。

まあ、念願といっても、アマゾンで大枚をはたけば、明日にでも叶ってしまうのだが・・・・


2015年2月15日(日)

『やくざ絶唱』(1970年)
増村保造:監督
大阪九条・シネ・ヌーヴォ

実は、『やくざ絶唱』が今回の大阪遠征の本命。
高校時代に購読していたキネマ旬報で知ってから、ずっと見たかった作品のひとつだった。

黒岩重吾の「西成山王ホテル」に収められた短編「崖の花」が原作。
原作のタイトルから、大阪の話かと思っていたら、映画の舞台は新宿だった。

新宿を根城にする暴力団の中堅幹部、実(みのる=勝新太郎)には、タネ違いで女子高生の妹、あかね(大谷直子)がいた。
あかねと暮らす家には、実の情婦・可奈江(太地喜和子)も同居していた。
なにかにつけ、あかねに愛情をそそぐ実に、可奈江は面白くない。
ある日、「いっそのこと、兄妹ふたりでくっついたら」みたいな軽口を叩いた可奈江を、実はどつき回したあげく家から追い出してしまう。
女だけでなく、当然、あかねに言い寄る男たちも、実は許さない。
二度と近づかないように締め上げた。

粗野な男ではあるが、実は紙一重のところで、自分の欲望を抑え込んでいた。

妹と、“したい”。

そんな兄の心の奥底を知りながら、いや、痛いほど分かっているあかねは、実から遠ざかる。
しかし、そんな妹もまた、

ホントは兄と“したかった”のだ。

そしてある晩、あかねは兄の呪縛から逃れるために、たぎる血を鎮めるために、手近にいた高校教師(川津祐介)に、初めての身体を差し出した。
さらに、あかねや実とは血のつながりのない、資産家である実父の養子、裕二(田村正和)が現れるやいなや、若いふたりは惹かれあう。
そして、あかねは決断した・・・・

実が、妹の前から、がっくりと肩を落として去っていく。
このシーンに出合うまで、豪放でコミカルな勝新に、泣きの芝居は無縁であると思っていた。
ところがだ、勝新のうしろ姿に、不覚にも涙した。
初めて、勝新に泣いた。

大谷直子のうすい胸と、太地喜和子の露わな太ももが見どころ。

劣情と純愛の物語。
好きな映画だ。



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