2015年2月10日(火)
『緋牡丹博徒 花札勝負』(1969年)
加藤泰:監督
NHKBSプレミアム
高倉健の追悼番組。
昨夜の『網走番外地』に続き、今夜は高倉健が藤純子の人気シリーズに客演した『緋牡丹博徒 花札勝負』だ。
私が高校生の頃に初めて見た東映のやくざ映画。
数年前、東京に住んでいた頃に、今はなき浅草名画座で再見した。
そして、今夜が3度目。
組の代紋が染め抜かれた暖簾がゆらりゆらりと揺れている。
その奥で、山本麟一相手に藤純子が仁義を切っていた。
腰を低くかまえた藤純子を、ローアングルからビシッと決めた構図で撮っていた。
ぴんと張りつめた空気が、画面にみなぎっている。
ああ、加藤泰だ!!
とにかく素晴らしい。年季がはいった職人技だ。
いくつかの美しいシーンに涙が出そうになった。
いっぽうで、見せ場のチャンバラにも手を抜くことがない。
思いがけず、加藤泰の傑作任侠映画をみたび見ることができたのも、高倉健のおかげだ。
こういうのを、遺徳というのだろう。ありがたいことだ。
本作は明治の頃の名古屋が舞台だった。
私の地元が舞台であることも、この映画が好きな理由のひとつだ。
東海道線を走る蒸気機関車の白い煙が流れる鉄道橋の下で、高倉健と藤純子が初めて出会う。
大須の組に今夜のわらじを脱ぐつもりの高倉健が道すじをたずねた。
「少し先にある日置を左に曲がり、まっすぐ進むと大須に出る・・・」
と、藤純子が返した。
あらためて現在の名古屋駅周辺の地図をネットで見た。
名古屋駅と日置の中間というと、笹島あたりになりそうだ。
そういえば、笹島にある映画館「109シネマズ名古屋」へ行くときに、鉄道橋をくぐる。
よその人にとっては、どうでもいいことだろうが、名古屋人としては、ちょっと自慢したくなる話だ。
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