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2015年02月09日00:47

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映画日記 『おみおくりの作法』

2015年2月8日(日)

『さらば、愛の言葉よ』(2015年)
ジャン=リュック・ゴダール:監督
矢場町・センチュリーシネマ

毎度のことながら、ゴダールの映画はさっぱり分からない。
とにかく、爆睡しなかったことだけは、自分を褒めたい。

本作に限らず、さっぱり分からないが、ゴダールの映画には不思議な魅力がある。
ひとことで言えば、「カッコいい」のだ。
本作も撮り方や音楽や色の使い方が年寄り臭くない。

とはいえ、やたらと登場する犬に、老人の孤独を感じたのも、正直なところ。

本作は、どうも言葉がテーマらしい。
見てる最中に、何かの映画に出てきた田村隆一の詩の一節「言葉なんかおぼえるんじゃなかった〜」が、頭に浮かんだ。

名古屋での上映は、どういうわけか2Dのみ。
これは3Dで見たかった。


『おみおくりの作法』(2015年)
ウベルト・パゾリーニ:監督
東新町・名演小劇場

まるで良質な日本映画を見ているような錯覚に陥る、静かな作品だった。

20数年間、身寄りのない死者たちの弔いを黙々と続けてきた役所の民生係、ジョン・メイ(エディ・マーサン)が主人公。
彼は、故人の思い出を整理し、宗派ごとに葬儀の手配をしていた。。
そして、その寂しい葬儀に、彼はたったひとりの参列者として故人を見送ることが常だった。
ある日、いつものように身寄りのない死者の連絡が入った。
死者は、ジョン・メイが暮らすアパートの住人、ビリー・ストークだった。
あまりにも身近な死に、ジョン・メイは動揺しながらも、ふだん通りに仕事を進めていく。
しかし、その直後に、若い上司が彼の解雇を告げにやってきた。
お金と手間がかかる彼の仕事ぶりは、経費削減中である今の役所では許されないという。
それ以上に、この若い上司にとっては、自分に対しお世辞のひとつも言わないジョン・メイが疎ましい存在だったのにちがいない。
落胆するジョン・メイであったが、ビリー・ストークの案件だけは最後まで執り行いたいと懇願し、なんとか了承された。
そもそも、ビリー・ストークとはどんな人生を送ってきた男なのか?
その日から、ジョン・メイの、ビリー・ストークの過去を調べ身寄りを探す、最後の旅が始まった・・・・

なんといっても、主演のエディ・サーマンがとても良い。
この人、ちょくちょく見る顔だ。しかし、どんなタイトルだったか思い出せない。
ネットで調べたら、ガイ・リッチーの『シャーロック・ホームズ』シリーズや『戦火の馬』などに出演していた。
『アリス・クリードの失踪』では、悪役もこなしていたのだから、演技の幅が広い名優なのだろう。
本作は彼の初の主演作だという。
個性的であるが、どちらかというと地味な風貌だ。
ひとり黙々と人の嫌がるような仕事を続けてきた、女性とも縁遠い独身男性を見事に演じていた。
とりわけ、混み合ったパブの喧噪の中で、ひとりぼっちでいるジョン・メイの姿に、涙をこらえることが出来なかった。
こういう言い方をしたら失礼かもしれないが、一世一代の名演技というか、はまり役だった。

もうひとつ、地味な民生係という仕事を“面白く”見せた映画にしたこと。
中盤以降、ビリー・ストークの過去を調べていくシーンがよく出来ている。
それとなく散りばめられた伏線が次々と回収されていく、上出来なミステリー映画のような面白さだった。

さらに、心にしみる音楽だった。

傑作!!



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