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2015年02月07日03:11

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映画日記 『映画 深夜食堂』

2015年2月6日(金)

『映画 深夜食堂』(2015年)
松岡錠司:監督
名駅・ピカデリー劇場

新宿の片隅にある深夜0時に開店し、朝の7時に店じまいをする「めしや」という名の食堂が舞台。カウンター席だけの小さな店を、常連からは「マスター」と呼ばれる亭主がひとりで切り盛りをしていた。
この亭主、顔に刀傷(だと思う)がある。言葉遣いや立ち振る舞いに訳ありな過去が見え隠れしていた。
たこウィンナーが好きなやくざや、おかまバーのママなど、夜ごと集う常連たちもまた、一癖もふた癖もありそうな面々。
そんな店でもちあがった三つの騒動に、骨壺を巡るエピソードを加えたオムニバス映画。

二つ目のエピソード、「とろろご飯」のヒロイン・多部未華子がとてもいい。
生硬な少女だった彼女が、いつのまにか色気を感じる女性へと成長していた。
タンクトップ姿や、入浴シーンが、とてもエロティックだった。

田中裕子の「カチワリ」には笑ってしまった。

季節の移り変わりを、サクラの花びらやギンナンといった食材で表している。
常連の飲み物もビールから熱燗へと移っていく。丁寧な撮り方だ。
昭和の匂いが漂う路地裏のセット(だと思う)も見事。

夜の路地に浮かぶバーのネオンには“雨のアムステルダム”の文字が浮かぶ。
『雨のアムステルダム』は岸惠子と萩原健一が共演した蔵原惟繕監督作品。
オダギリジョー扮する駐在所の警官に片思いする中華料理屋の女店員が出てくる。
まったくセリフが無いのに印象に残ってしまう、けっこうオイシイ役を、野崎(さきは奇の上に山)好美(だと思う)が演じている。彼女が手にしている出前のおかもちには“洲崎飯店”と書かれていた。“洲崎”とは、もちろん川島雄三の『洲崎パラダイス』からの引用だろう。

筒井道隆と高岡早紀は『バタアシ金魚』つながり、オダギリジョーと小林薫は『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』つながりだ。
HPを見たら、おかまバーのママ役・綾田俊樹と新橋の料亭女将役・余貴美子は、ともに自由劇場出身とある。
そういえば、常連客のひとりを演じていた不破万作と小林薫は、状況劇場の出身だった。
まるで、映画や芝居の「韻」を踏んでいるみたいだ。
作品の本筋とは、まったく関係ないが、こういう連想が涌き上がってくるのも、映画を見る楽しみだ。

原作は漫画、テレビ化もされているとのこと。
テレビ版が見たくなった。



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