私は社会人聴講で受けた事はないが、静岡文化芸術大学デザイン学科の山本一樹教授(1957- )が退任される事となった。
先生の略歴その他については、2012年4月に浜松市美術館で個展が開催された時のレポートをご覧頂けたらありがたい。
詩的な余韻の残る素晴らしい展覧会だった。
参)
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1840832268&owner_id=3341406
今回文芸大ギャラリーで行われた展覧会には「退任記念展」と添えられている。
彼が東京藝大在学中に制作した作品(1982)から2021年の最新作迄33点、併せて山本ゼミ卒業生の作品20点が展示されていた。
・会期 11/13〜28
素材(鉄を中心とした金属)もモチーフ(丘、海、風、月、古い建物等々)も基本的には変わらない、その詩情も変わらない。前回の展覧会で、私は彼を「鉄の詩人」と呼んだのだった。
今回は会場に山本教授がおいでで、直接話を聴く事ができたのは幸甚だった。
写真撮影もできたので、いくつか紹介したい。
《Ancient Blast》(2010/鉄,真鍮)…壁面展示
・全体
・部分
塗装は一切していない。鉄錆で仕上げている。このまま何年たっても変化しない。
家の大きな壁と、小さな出入口や窓、階段。こうしたアンバランスなパターンは山本作品の典型。
よく見ると、右下の入口の扉はは少しだけ開いている。
左上の扉はどうかと見てみると、こちらもやはり少し開いている。
つい先程、誰かが入っていったのか出ていったのか。
《The Wind Blows to Where You Are》(2014/鉄)…台展示
・表面
・背面
屋根の上には木が並んでいる。家と地面の境が何処にあるか分からず、不思議な感じがする。
回り込んで背面を覗くと、そこにも小さな出入口や窓、階段がある。
鉄の塊を削りだしているように見えて、持ってみたら重そうだが、実は、前面と背面を溶接していて、家も木も中はカラ。鉄板の厚さは2mm弱だから軽いですよ、との事。
この作り方は共通している。
《On the Way Home》(2021/鉄,石)…4点セット、床展示
・全体像
・部分
トラックの右に点々と続く小さな穴。
丘の上の家、その前の平地に打ち込んでいる小さなピン。
これらは人の足跡のようにも見える。
《As Long As We Are Hear》(2016/鉄,真鍮)…4点セット、壁面展示
・全体像
・部分を右から
この緑青色も錆。塗料の色ではない。
茶色の錆と違い水には弱いので、保存に注意が要る。それさえ気をつければ、この色も何年たっても変化しない。
風で飛ばされた持ち手のいない傘。金色の素材は真鍮。そして、やはり点々と続く穴。
ブランコは今も僅かに揺れているように見える。
(続く)
ログインしてコメントを確認・投稿する