11.24(月/祝)、愛知県芸術劇場大ホールで行われたネザーランド・ダンス・シアター(NDT2)来日公演2025を観た。
日本公演は全部で3回。先に神奈川芸術劇場で2回やっている。
NDTは昨2024年7月、神奈川県民ホールでの公演を観て震える程の感動を覚えた。その記憶はまだ生々しい。
〈参〉「ネザーランド・ダンス・シアター/神奈川県民ホール」(2024.7.11記)
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1987971747&owner_id=3341406
正確に言うと、昨年の公演は「NDT1」で、今回は「NDT2」だ。
「1」と「2」の違いは、勘違いしやすいがグレードではない。
1978年創立当初は、確かに「2」は若手ダンサーの育成プログラムだったが、今はそれぞれ独立したレパートリーを持つ独立したカンパニーとなっている。
「1」は23〜40歳前後の経験豊富なダンサー28人で構成、「2」は18〜23歳の若手の気鋭ダンサー16人が所属している。
NDTは元々革新性の強いカンパニーで、世界のダンスシーンで、ダンス表現の可能性を更新し続けてきた。
そうした思想の下で、「2」の若いダンサー達は創造性と多様性をはぐくみながら、コンテンポラリーダンスの持つより先鋭的な力を世界に示し、謂わばダンスの未来を体現する。
コレオグラファーや制作陣も、そうした意識をもって、敢て「1」でなく「2」に作品を提供するというケースが増えている。
今回の3つのプログラムも、コンテンポラリーダンスの地平を押し拡げるものになっている。
1)マルコス・モラウ《Folkå》
2)ボティス・セヴァ《Watch Ur Mouth》
3)アレクサンダー・エクマン《FIT》
1)
演出・振付・美術 マルコス・モラウ(1982- /スペイン)
音楽 ファン・クリストバル・サアベドラ
照明 トム・ヴィッサー
衣裳 シルヴィア・デラニョー
初演 2021.11.4/アマーレ劇場(デンマーク)
日本初公演
モラウは珍しい事にダンサーとしてのキャリアがない。バルセロナとニューヨークで演劇,写真,振付を学び、コレオグラファーとしてダンス創作の世界に飛び込んできた。今年からNDTのアソシエイト・コレオグラファーも務めている。
世界各地で演劇とダンスを融合させた作品を制作、スペインではNational Dance Prizeを史上最年少で受賞。
来年は何と「文楽×歌舞伎×ダンス」を標榜し、《金閣寺》(原作 三島由紀夫)を東京芸術劇場で上演するとの発表があったばかり。一体どんなものができるのか、想像もつかない。
今回の《Folkå》はタイトルからも分かる通り、現代にフォークロアがどう成立し得るかという意図があったのだろう。
ダンサーらは、男女とも東欧の民族衣装らしきものをまとっていた。テンポ感のある鋭いキレと荒々しいうねりを感じさせる集団の踊りは、時に「1:群」(*)という構造を示し、神秘性な儀式性を感じさせもした。
(*)《春の祭典》(ストラヴィンスキー)における生贄を選びだす行程を想い起した。
音楽では、ブルガリアの民族合唱の歌声は非西欧的で、激しい低音のドラムを利かせた音楽に入り混じり、昂揚を繰り返す。
照明も、見た事のない大型機材を用い、突然近寄った惑星の発する宇宙光線が観客席を戦慄させ、想像を超えた効果を生みだしていた。
実は、今年2.17にNHK-BSの「プレミアムシアター」で放送されたスペイン国立バレエの《アファナドール》もモラウの演出・振付で、驚くべき斬新さに悪魔的・呪術的なエネルギーが混交するところは、相通ずるものがあった。
冒頭のチラシ写真は《Folkå》の部分。
下はカーテンコールの挨拶。
こちらは、本公演の公式サイトから拝借したティーザー予告動画。
https://youtu.be/v3LfoR1r95c
2)
演出・振付・美術・衣裳 ボティス・セヴァ(1991?- /英国)
音楽 トーベン・シルヴェスト
照明デザイントム・ヴィッサー
初演 2025.3.27/アマーレ劇場(デン・ハーグ)
日本初公演
タイトルの「Watch Ur Mouth」は「Watch Your Mouth」の隠語表記らしい。
ボティス・セヴァはヒップホップ出身のコレオグラファーという変わった経歴。ヒップホップとコンテンポラリーダンス、領域を超越する創作活動を見せる。
ヒップポップ舞踊劇《ブラックドッグ》(2018)はローレンス・オリヴィエ賞を受賞した。
本作は自身の過去の経験から、社会の底辺で差別と抑圧に苦しむストリートダンサー達の葛藤や重荷を表現している。
が、仲間やパートナーとの連携によって、前に進む事、生きる意味を見つけ出す。
観たあと、個人的には、バレエとブレーキンは一番遠い、そんな思いにも駆られた。
今後セヴァがどう工夫していくのか、まだ余地がありそうだ。
カーテンコール。
ティーザー予告動画。
https://youtu.be/_GGZXosIWsc
(続く)
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